橋本裕の日記
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日本では夫が妻に先立たれる確立は15パーセントで、妻が夫に先立たれる確立は85パーセントだという。この差は女性の平均寿命が長い上に、夫の方が年上という場合が多いせいだろう。妻を看取るよりも、妻に看取られて天国へ旅立つ夫が5倍以上なわけだから、夫としてはありがたい。
ところで不運にも妻に先立たれたときはどうなるか。この場合の夫の平均余命は5年だという。夫に先立たれた妻の平均余命は22年もあるというから、ずいぶんのちがいである。
妻に先立たれると、食事、洗濯、掃除などの家事は普段からやりつけていない夫には大変である。妻に依存して生きてきた人ほど自立心が少ないから厄介である。妻に先立たれた後の5年間は、こうした夫にとって淋しい余生であり、不自由の日々となる。妻を失った精神的打撃に加えて、生活面での不便も生きる意欲の減退に結びつく。
私の知人の老人がやはり妻を先立たせた後、3年後になくなった。とても丈夫なひとで、乗馬やスキーをたのしみ、油絵を描き、私たちがお邪魔するとハーモニカを吹いてくれたりした。生きる意欲に満ちた強い人だったが、あっという間だった。これにくらべて私の母など、父を亡くして12年になるが、先日も13回忌を取り仕切り、まるで老いを感じさせない。
日ごろ強がりを言っていても、男は一人で生きて行くには弱すぎるのだろうか。この点、女性はたくましいのだろう。夫の死後の22年間は、未亡人の妻にとってさしたる不便も淋しさもない、自由と安楽の余生のようだ。ぬれ落ち葉のような夫がいなくなって、せいせいしたという女性もいることだろう。
妻にとって理想の夫とは、定年まで働いて、あとはさっさと天国へ行って、財産と自由を残してくれる夫かもしれない。男は余り長生きして、妻や子供に疎まれたり煙たがられないことが肝要だ。私のように世界放浪の旅に出るのも一計かもしれない。いずれにせよ、妻を先立たせるという愁嘆場は経験したくないものだ。おとこやもめの一人旅は、なんだか少し淋しい。
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