橋本裕の日記
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| 2003年06月21日(土) |
現代という時代の気質 |
エリック・ホッファーによれば、われわれの時代の気質を特徴づける特性は何かというと、それは「気短さ」だという。そうして変化を求め先走りする風潮のなかで、個人の成長や社会の成熟がなおざりにされている。
<いたるところで、国々が一挙に躍進しているのが見られる。順を追って成熟する暇はない。新興国は芽を出すか出さぬうちに花を咲かせ実を結びたがり、多くは人工的な実や花でみずからを飾りたがる>(「現代という時代の気質」以下の引用も同じ)
すべてが変化し、うつろいゆき、情報が氾濫している。現代的な性急さや気短さで「新しさ」を追い求めているうちに私たちは流れにもてあそばれ、自らを失うことになる。何が真実であるかを見極めることは容易ではなく、人々は喧噪の中に生き、喧噪を活力だと誤解したまま、疲れ果てて死んで行く。
創造や発展、あるいは「変化すること」それ自身がこれほど尊重される時代はいまだかってなかった。しかし、ホッファーは気短な進歩や発展というものは一時的なものに過ぎないという。その多くは見かけ倒しにすぎない。これに対して、「維持するという平凡な仕事にはなにかしら荘厳な気が漂っているように思われる」という。
<維持するよりは築く方が容易なのだ。活気のない、衰弱した国民でさえ、なにか感動的なことを達成するためにしばらくのあいだ活気を帯びることがありうる。だが、二六時中物事を良好な状態にたもつために費やされるエネルギーは、真の活力をもったエネルギーである>
<外国生まれの沖仲仕や船乗りと話してみて、私は維持能力が西ヨーロッパ、スカンジナビア諸国、アングロ・サクソン世界、および日本の特異性である、という印象を得た>
植物は一年中花を咲かせ、実を結んでいる訳ではない。それは全体から言うと、ほんの一部の時期である。ときには葉さえ落として、あたかも枯れ木のような淋しい姿で生きているときもある。しかし、彼らはそうして生命を維持している。成長・発展を支えているのは、こうした日ごろの地味な活動である。
社会もまたこうした地道な活動によって支えられている。知識人や政治家、英雄などが華々しくもてはたされるなかで、「維持するという平凡な仕事」を続けている堅実な一般大衆の存在こそほんとうに偉大だといえるのだろう。そうした堅実な人々によって支えられた社会こそがほんとうにまともで、創造性を秘めた活力のある社会である。アメリカの新興都市サンフランシスコの沖仲仕として社会の下積みで長年働いていたホッファーの冷徹な目は、さすがにこの厳かな真実を見のがさない。
社会もまたこうした地道な活動によって支えられている。知識人や政治家、英雄などが華々しくもてはたされるなかで、「維持するという平凡な仕事」を続けている堅実な一般大衆の存在こそほんとうに偉大だといえるのだろう。そうした堅実な人々によって支えられた社会こそがほんとうにまともで、創造性を秘めた活力のある社会である。アメリカの新興都市サンフランシスコの沖仲仕として社会の下積みで長年働いていたホッファーの冷徹な目は、さすがにこの厳かな真実を見のがさない。
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