橋本裕の日記
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先日、大学の進学説明会に行って来た。そこで「小論文」の話が出た。最近多くの大学で小論文が課されるようになったが、その理由は大学に入ってもっとも要求されるのが「論文を書く力」だからだ。その基礎的な能力を高校生のうちから養成しておいてほしいということらしい。
しかし、高校生の多くはこれが苦手である。その原因の一つは、生徒達が高校で文章を書く技術の習得に向けてほとんど訓練を受けていないからだ。したがってテーマーを与えられても何をどう書いたらいいのか分からない。解答用紙の升目を埋めるのが苦痛な作業になっている。
しかも、大学で入試問題として出される小論文テーマをみると、教育、環境、、福祉、政治経済、情報、科学技術、人間科学などその内容は多岐に渡っている。こうした多彩なテーマについて論じることは、日ごろから世の中の動きに関心と問題意識をもち、自分の頭で考え、文章にまとめる習慣をつけておかなければならない。これは教える側の教師にとっても同じである。教師の力量も問われる。
1月15日付「朝日新聞」で、長岡裕子さんが、「『書く力』、高校で養成必須」と題した文章で、「その指導を、文章を書くのは国語の分野とばかりに国語教育に含めてしまうのは無謀である」と書き、次のように続けている。
<小論文を書くためには、問題意識を持って広く社会を観察し、自己を含めた人間分析をしながら、解決・改善への方向性のある独自の意見を示さなければならない。その意見には読み手を納得させる具体的で客観的な論証が要求される。論理的な文章構成力、表現力も不可欠である。
このような「小論文を書く力」は今日の若者にとって、従来の教科を学習する上でも、進路や生活について考える上でも大きな効果をもたらすだろうし、「読む力・書く力」の集大成としての意味も持つ。国際的な場で自分の意見を発表できる日本人に成長する、という期待さえ持てる。
私が見る限り、高校生たちは小論文を書くのが決してきらいではない。ただ、知識に裏付けられた考え方、論じ方、表現の仕方が未熟なのである。
入試の一形式として大学側から発信された小論文だが、今、高校教育における必須の教科としての認識を促したい。まずは総合学習の中に時間を確保し、年間のカリキュラムを組み立て、指導体制を整えていくことが求められている>
小論文を総合学習の中に位置づけるのは賛成である。しかし問題はいかにこれを実践するかだろう。「書く力」の根底には「読む力」がある。読書指導もあわせて行えば、効果的だろう。この場合、漫然と読書させていてはダメで、各分野ごとに課題図書を指定して読ませることも必要になる。また新聞の記事や社説を利用するのも有効だろう。そうした実践例があれば知りたいところである。
なお小論文の書き方については、「朝日新聞大学入試研究所」というすぐれたHPがあるので紹介しておこう。その中の「クマでもわかる小論文講座」はとくにお薦めである。小論文の基本的な考え方から文章をまとめるときのコツが、様々なテーマからなる例題と例文をとおして解説されている。
<よい小論文の条件は、次のものがあげられるクマ。キミが書く小論文は、これらの条件を満たしているかな? 1 設問のテーマ(要求)に正しく答えているか。 2 資料が提示された場合は、資料の内容を正しく理解できているか。 3 自分の考え(意見)がはっきり示されているか。 4 自分の考えの理由(論拠)が、しっかりと筋道を立てて述べられているか>
なお例題の一つに、私が「朝日新聞」に投稿した「分数の割り算は必要か」という文章が使われている。これは2002年の名古屋市立大の小論文入試に実際に出題されたものだが、小論文のテーマーとして手頃だったのだろう。「分数の割り算 数や論理の理解に不可欠」という戸瀬信之氏の反論もあわせて示してあり、両論についての解説や解答の作文例が参考になった。
(参考サイト) http://www.asahiguma.com/ http://www.asahiguma.com/syouron/syouron.php http://www.asahiguma.com/syouron/ron-020318-q.html
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