橋本裕の日記
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2003年06月06日(金) あかね雲

11.専売所の娘

 私が専売所で夕刊を受け取って出かけようとすると、奥さんが二階に声をかけた。
「芳子、橋本さんが見えたわよ。降りていらっしゃい」
 やがて梯子段を、素足の娘が降りてきた。流行のミニスカートを穿いていたので、私の目に娘の白い太股が見えた。

 東京の大学に行っている専売所の一人娘だった。目の大きな、顎の張った勝ち気そうな娘だった。夏休みに私が帰省している間、彼女が肩代わりをして新聞を配ってくれることになっていた。
 芳子はサンダルを履くと、
「橋本さんですか。よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしく」

 私達は自転車を連ねて出発した。自転車に乗るとすれ違う男たちが、彼女のミニスカートの太ももに視線を向けてきたが、彼女は気にしていなかった。一時間半ほどで配り終えて店に戻ると、芳子が冷えた麦茶を運んできた。

「帰省されるそうですね」
「寺の草取りがあるのでまだ少し先になりそうです」
「大きなお寺なのですか」
「小さな、無住のお寺です」
「お邪魔しようかしら」
「草取りの手伝いなら、歓迎です」
 私は芳子なら来るかも知れないと思った。


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