橋本裕の日記
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サンデープロジェクトの「米国メディアが伝えたイラク戦争」によると、アメリカのテレビは負傷したイラクの子どもたちや泣き叫ぶ女性たちの姿を、まったく映さなかったという。そして米軍に大量の記者を同行させ、愛国心を煽るような映像を流し続けた。アルジャーラの報道は伝えないどころか、そのバグダッド支局を「誤爆」さえした。
こうしてアメリカ自作自演のイラク戦争が終わり、アメリカ軍がイラク全土を掌握してもうかなりになるが、イラクが保有しているとされた生物化学大量殺人兵器はいまだに発見されていない。アメリカのイラク侵攻の主な理由だっただけに、この問題は蔑ろにされてはいけない。あくまでしっかり検証して欲しいものである。そしてできることなら、この検証を国連の査察機関に行って貰いたい。アメリカ政府の発表はあまり信用できないからだ。
イラク軍はイラン・イラク戦争末期の88年3月、イラク北部にある少数民族クルド人の町ハラブジャで化学兵器を使ったとされている。パウエル米国務長官は2月の国連での報告で「クルド人に対するマスタードガスと神経ガスの使用は、20世紀の最も恐ろしい虐殺の一つだ。5000人が死亡した」と非難した。そして日米のメディアはこれを事実として報道した。
しかし、米中央情報局(CIA)分析官の経歴を持つペレティエ米陸軍大教授(当時)らは90年の報告書で「両軍が化学兵器を使った。現実にクルド人を殺したのはイラン軍の爆撃である可能性が高い」と指摘している。死者はシアンガス中毒の兆候を示していた。そしてシアンガスを使っていたのは、イラン軍だった。しかも昨年10月のCIA報告書はハラブジャの事例を「死傷者が数百人」と記していて、5000人という数字もイラクに「悪の枢軸」というイメージを与えるためにでっち上げられた可能性がある。
昨年9月、ブッシュ大統領が国連演説した際に「欺瞞と反抗の10年」という文書が公表された。ここには「イラクは95年、高級幹部の亡命後、スカッドミサイルの弾頭用として炭疽菌、ボツリヌス菌など数千リットルの菌を製造している事実を認めた」との記述がある。これだとだれしもイラク政府が95年時点で生物兵器を製造していたかのように読める。
しかし、イラクが生物兵器を製造していたのは91年の湾岸戦争前のことで、CIA報告書にはそのことが明記されている。イラクはそのことを95年になって認めて、さらに亡命した高官でさえそれらは完全に廃棄されたと主張したのだが、「欺瞞と反抗の10年」の文章はそうした経緯については何も言及していない。
こうしたアメリカ政府の事実歪曲の舞台裏を知らされてみると、ブッシュやパウエルの方が国際社会に対する「欺瞞と反抗」の主役であり、「悪の枢軸」ではないかと疑わざるをえない。それにしてもこんなにもお粗末なレトリックを使ってまで、急いでイラクを侵略したブッシュ一派の真意は何だったのか。これから少しずつ、その化けの皮が剥がれ落ちていくのだろう。
(参考サイト) http://www.mainichi.co.jp/eye/kishanome/200304/29.html http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20030320/mng_____tokuho__000.shtml
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