橋本裕の日記
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2003年04月29日(火) こころの羅針盤

 今の高校に転勤してきて、まる5年が過ぎた。この24年間で6校を経験している私にしては長い方である。前任校には4年間の勤務だった。転勤にあたって、全校生徒の前でお別れの挨拶をするのだが、あいにく私は都合で出席できなかった。しかし、そのとき生徒達に話すつもりでまとめた「こころの羅針盤」という文章が残っている。今日はそれを紹介しよう。

<みなさん、羅針盤を知っていますか。コンパスやジャイロスコープともいいますね。磁石で出来ていて、東西南北の方向を知るためのものです。航海には欠かせないものですね。飛行機もこれがないと飛べません。紙と火薬と羅針盤を世界3大発明だと習った覚えがあります。どれも中国で発明されたものだそうです。中国文明はすごいですね。

 ところで、人生も旅にたとえられます。「旅に病んで夢は枯野をかけめぐる」なんていう有名な芭蕉の句がありますね。芭蕉も旅が好きだったようですが、コンパスをもっていたと思いますか。まさかそんなものは持っていなかったでしょうね。芭蕉が棒磁石を持って歩いたなんてどこにも書いてないです。

 しかし、じつは彼も立派なコンパスをもっていたのです。彼は人生に彼なりの目標や志をもっていました。だから彼の人生は決してたんなる放浪の旅で終わってはいません。あてのない旅のように見えても、実はそうではなかった。それは彼が「心の羅針盤」を持っていたからではないでしようか。

「心の羅針盤」という言葉を私はある人の文章を読んでいて知りました。そしていい言葉だなと思って、よく口にします。「心のコンパス」でも、「心のジャイロスコープ」でもいいのですが、私は「心の羅針盤」が好きですね。でも若いみなさんは「心のコンパス」のほうがいいかな。ジャイロスコープでもいいです。とにかく、この言葉、ちょっと心にとめておいてくれませんか。

「心の羅針盤」とは何か。それぞれ違った解答があると思います。「人生の目標そのもの」だとも言えるし、「良識や常識」だと答える人もいると思います。「地位や名誉や権力だ」あるいは「お金がすべてだ」と言う人もいるかもしれない。またある人は「それは良心だ」と答えるでしょう。何を「心の羅針盤」に選ぶかで、人生も違ってきます。

 皆さんはどんな羅針盤を持っていますか。一度自分の羅針盤を点検してみましょう。まだ持ってないと言う人は、これからすばらしい「心の羅針盤」を発見してほしいとおもいます。実は勉強することの本当の意味は何がほんとうに大切な「心の羅針盤」であるかを考えることにあるのです。なぜなら、それによって人生が違ってくるからです。 

「心の羅針盤」がないと、人生に迷います。そしてやみくもにあっちへ行ったり、こっちに行ったり、右往左往して消耗します。思わぬ事故にあったり、不安と焦燥に駆られて、あくせくしなければなりません。でも「羅針盤」があれば、心にゆとりがうまれます。そして時には鼻歌をうたいながら道草ができます。そして路傍の野の花や木立や青い空をながめ、ゆったりと人生の旅を楽しむことができるでしょう。かけがえのない人生を、思い切り生きて、そして思い切り楽しむために、「心の羅針盤」を大切にしたいものです>


橋本裕 |MAILHomePage

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