橋本裕の日記
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| 2003年04月13日(日) |
国際協力でイラクに平和を |
バクダッドが陥落した。フセインの銅像が倒される映像や、その銅像の上に立って歓喜する人々の姿が全世界に流された。ほんの数週間前までフセインに絶対服従を誓い、米英を悪魔の手先だと罵っていた人々が、掌を返したようにあっさりと米英軍を迎えている。
そうした映像を見ながら、私は少し前に読んだダワーの「敗北を抱きしめて」という敗戦後の日本を描いた本を思い出した。天皇を神のように崇拝し、鬼畜米英を叫んだ日本人も、戦争に負けると掌を返したようにおとなしくなり、中には進駐軍を「解放軍」として迎えた人たちもいた。
マッカーサーのもとには山のようなファンレターが届いたし、子供も女もアメリカ軍兵士のまわりに群がった。政治家や旧軍人達まで一夜にして親米になった。マッカーサーは後にこうした状況を振り返って、「日本人はまだ12歳の少年だ」とアメリカの議会で述べている。
イラクの街角では今どんな光景が見られるのだろうか。テレビの映像や現地のジャーナリストのレポートからは、一部にそうした迎合的な民衆の様子がうかがえる。圧政から解放してくれたことに対する感謝ばかりではなく、新たな支配者への猜疑心や抵抗心、あるいは敗北による屈辱感や虚脱感もあるに違いない。そうした中で人々の必死に活きる営みが続いているのだろう。
敗戦後の日本社会は混乱した。しかし、フセイン政権崩壊後のイラクの混乱はさらにひどいようだ。バグダッドでは、米英軍の空爆中も治療を続けていたキンディ病院が10日、武装集団に襲われ、救急車やベッド、薬品が持ち去られ、職員も引き揚げて応急処置しかできなくなったという。
略奪は地方都市にまで及び、国際機関も襲われ、人道支援再開にも支障がでている。国連児童基金(ユニセフ)事務所は強盗団に襲われ、活動再開は難しいようだ。周辺国で待機している援助団体も、治安の悪化でバグダッド入りのめどが立っていない。
英紙タイムズは「フセイン時代の方が安心して眠れた」という市民の声を伝えている。こうした中で、バグダッドの米海兵隊部隊の司令官が、ようやく重い腰を上げて略奪をやめさせるよう命令を出した。しかし、米英軍兵士が「警察官」として住民を厳しく取り締まれば、反感を買いかねない。
米英軍はフセインの軍隊にはうち破ったが、「治安維持」という思いもかけない課題を背負い込むことになった。これから米英はイラクの新たな支配者としての姿を、いやがうえにもイラクの民衆の前にさらすことになるのだろう。
いずれにせよ米英軍にイラク全土の治安を維持できるほどの余力があるわけではない。アメリカはこれまでの行きがかりにこだわらず、国際社会の協力を求めるべきだろう。各国が自らの利権や利害で対立しているときではない。イラクの治安が一刻も早く確立され、イラクの人々に安心して眠れる平安な夜が訪れることを祈りたい。
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