橋本裕の日記
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| 2003年04月09日(水) |
米国債を買うだけの日本 |
戦争にはお金がかかる。米議会上下両院が戦費を賄うための約800億ドルの戦時補正予算案を可決した。しかしイラク戦争の戦費は2000億ドルを越えると言われ、巨額の財政赤字を抱えるアメリカはこれをいずれ調達しなければならない。
イラクには世界一の埋蔵量を誇る石油資源がある。アメリカはこれをイラク国民の福祉のために使うと言っていたが、最近はアメリカ軍の戦費の足しにすると言いだした。またスノー米財務長官は、イラク復興に関して、「各国の手助けを確認したい」と述べ、日本や欧州に復興費用の分担を求めていく考えを明らかにしている。復興費用という名目で、戦費の分担を求めてくることも考えられる。
実のところ、日本は昨年度末で米国債を3637億ドル(43兆円)も保有している。ちなみにこの額は、海外依存分の31・2%を占め、二位の中国の3.5倍以上になっている。日本の米国債の購入はブッシュ政権発足後から加速し、昨年末までの2年間で460億ドルも増えている。戦争につきすすむブッシュ政権を支えている最大のスポンサーはだれあろうわが日本である。
イラク戦争の戦費調達のため、ブッシュはさらに日本に米国債を買うように圧力をかけてくるだろう。日本政府は親分に言うことには逆らえないから、「上納金」としてこれを大量に買うことになる。そしてこれらもイラク戦争の戦費として使われることになるのだろう。
経済評論家の佐高信氏は米国債は「暴力団米国組への上納金」だと言っている。しかし、考えようによっては、日本こそアメリカの最大のスポンサーなのである。投資した金がどのように使われるのか、債権者として注文をつけるのは当然のことだ。佐高信氏の言葉をさらに引用しよう。
「米国債を持っているという事実を小泉首相は知らないかもしれない。少なくとも国民は知らない。戦後復興の負担の話も出ているが、戦費はすでに国債という形で負担している。何で債権国が債務国に卑屈になっているのか。言うべきことは言わなきゃいけない」
評論家の室伏哲郎氏も「軍事力がない日本が、米国に対して発言権を持つ唯一の手段だ」という視点から、米国債をもっと外交カードとして活用すべきだと提言している。
「マイナスに考えるのではなく、成り金王国の唯一の存在感を示せばいい。大きく出て国連というものを考え直すてこにしたらどうか。国際連盟がだめになって現在の国連になったが、いまだ(第二次世界大戦の)戦勝国が発言権を持つ組織だ。いつまでも敗戦国をこけにするなと言えばいい。常任理事国に入り、拒否権をくれといい、さらに大きく出て、第三の国連のようなものをつくることを、米国の尻馬に乗ってでも主張すべきだ」
室伏哲郎氏の意見はいささか過激だが、外交戦略としてこのくらいのしたたかさは持っていていいのだろう。いずれにせよ、アメリカの財政破綻は近い将来にありえないことではない。そのとき米国債は紙屑同様になるだろう。そうしたリスクをおかして米国債を買い続けるのだから、それに見合った戦略は持つべきである。
親分に言われるまま、「しかたなく買っている」という受け身の姿勢からは何も生まれない。私の「経済学入門」でも強調したことだが、資産というものはただ持つためにあるのではない。いかにそれを活用するかが大切だ。活用されない資産はないのと同じである。「持つ」発想から、「使う」発想へと、私たちの考え方をパラダイム・シフトする必要がありそうだ。
(参考サイト) http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20030403/mng_____tokuho__000.shtml
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