橋本裕の日記
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少し前に、NHKスペシャルでアメリカの「要塞町」を取りあげていた。NHKの番組案内の文章を紹介しよう。
<アメリカで今、「要塞町」と呼ばれる高級住宅地が次々に出現している。周囲を高い塀で張りめぐらし、出入り口を警備員が監視し外部からの自由な立ち入りを閉ざす町である。
ロサンゼルス近郊にあるコト・デ・カザは、全米でも最大規模の要塞町。住人の平均年収は1500万円平均年齢は35歳という若さである。要塞町の住人は言わば、アメリカ競争社会の勝者たちなのである。
90年代アメリカの空前の好景気の原動力となったのは、徹底した競争主義だった。競争、市場主義こそが効率的で、富を生み出すと考えられてきた。しかし長い好景気の終わりとともに、要塞町にも変化が現れている。
失業などで要塞町を去る家族。自宅でも携帯電話や電子メールで仕事に追われ、夫婦すれ違いの日々が続き、絆が揺れる家族。 要塞町を舞台に、果てしない競争主義が人々に何をもたらしているのか、探っていく>
「要塞町」は「ゲート付き住宅地」のことである。有名なのは三十の要塞町が一緒になってフロリダ州にあるウェストン市で、警察や消防、水道などを自前で持ち、外部の警察や警備の点検ぬきには一歩も入れない。文字どおり「要塞市」である。
こうした「要塞町」がアメリカには2万カ所もあり、現在800万人がそこで暮らしているという。そして現代のアメリカンドリームはこの町の住人になることだそうだ。要塞の中で安全に、金持ちだけに許される特権的な生活を楽しみたいということらしい。しかし、この「楽園」の生活が、みかけほど快適でないことはNHKの番組を見れば明らかだ。
それは本当の幸福がお金では得られないというありふれた真実を私たちに確認させてくれる。競争社会の勝者達が集まってできたコミュニティの何と非人間的で寒々としていることだろう。そこにあるのは対話を持てない夫婦の悲しい姿であり、富や権力、地位によってしか他人や自分を評価できなくなった勝者の孤独で貧しい空っぽの心である。
アメリカでは20%の裕福層が富の93%を独占しているという。そして、最上位1%の資産が、下位95%の総資産を上回るという信じられない格差が生まれている。この格差は今後もますます広がるのだろう。その結果アメリカは今以上に犯罪が氾濫する暴力社会になり、「要塞町」の需要もますます増え続けることだろう。
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