橋本裕の日記
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浅草を歩いていて思ったのは、やはりあまり活気がないことだ。浅草演芸場も空席が目立った。落語の中にも、今全国で4軒しかこうした寄席がなくなって、まさに「死滅」しつつある。もう天然記念物とかわらない、という話があった。これも何とも淋しいことである。
一昨日は浅草のカプセルホテルで泊まったが、宿泊代が2900円といつのまにか400円も安くなっていた。12パーセントあまりの値下げである。安くなるのはいいが、そのうち経営危機でつぶれないか心配である。ひいきにしている店なので、どうにか生き残っていてほしい。
一般にインフレというのは、物やサービスの値段があがること、いわゆる物価高だ。これは物が少ないときに起こる。しかし今は過剰生産の時代。中国から安い製品が洪水の如くはいってくる。だから物の値段がさがり、デフレになる。 しかし、インフレとかデフレは、実は商品の量だけではなく、貨幣の流通量ともかかわっている。日銀がお金をたくさん印刷すると、お金の価値が下がって、ものの値段があがる。つまりインフレだ。
だから、デフレを押さえるには、基本的に二つの選択しかない。外国から安い製品が入ってこないようにするか、通貨の供給量を増やすかである。自由貿易をつらぬこうとすれば、とりあえず通貨供給量を増やすしかないということになる。これが今、話題になっているインフレターゲットだ。
デフレは物やサービスの値段が安くなるのだから庶民にはありがたい気がするが、実は給料も安くなる。企業が倒産して、失業率も上がる。物が安くなっても、それ以上に収入が減っては意味がない。だからそう簡単には喜べない。
私が注目している経済評論家の森永卓郎さんは、日本はもう実質的に経済成長はしなくてよいという立場だ。ただ名目で2,3パーセントの成長があるほうが望ましい。実質は0かマイナス成長でよいが、経済が円滑に動くために名目2パーセントの成長率を確保する必要がある。森永さんの考え方は、私が以前に「経済学入門」に書いた説と同じである。政府や日銀もこうした政策を一刻も早く、鮮明に打ち出して貰いたいものだ。
森永さんは東京大学経済学部を卒業し、経済企画庁に勤務した経験もある。現在は売れっ子の経済評論家で、テレビ・ラジオ、講演などで忙しいようだが、とても論理的かつ実践的で、文章もわかりやすい。そして何よりも素晴らしいのは、この人の視点のよさである。
この人自身はエリートだが、いつも庶民の立場から発想している。不思議なのは、私たち庶民がかえって弱肉強食のエリートの立場に立って、威勢の良い物の考え方をすることである。雀でありながら、自分をタカだとおもっている人がほとんどである。笑止なことだが、これが笑えない日本の現実なのだ。
(参考文献) いずれも著者は森永卓郎。 「日本経済暗黙の共謀者」講談社α新書 2001,12発行 780円 「日本経済50の大疑問」講談社現代新書 2002,3発行 680円 「シンプル人生の経済設計」中公新書ラクレ 2002,11発行 700円 「ビンボーはカッコイイ」日経ビジネス文庫 2002,5 発行 571円
<今日の一句> 江戸川の 堤を下りて 春の川 裕
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