橋本裕の日記
DiaryINDEXpastwill


2003年02月25日(火) 繰り返されるバブルの悲劇

 1979年にエズラ・ヴオーゲルが「ジャパン・アズ・ナンバーワン」を著し、これからは日本の時代になるだろうと予言した。その予言の通り、1980年代の日本は世界の驚異といってもよかった。なんとアメリカの富の象徴であったエンパイアステートビルまでが日本資本の手に落ちた。

 とくに1986年から90年にかけての5年間、株式、土地、ゴルフ会員券、絵画などの「資産」の価値が急騰した。86年1月に1万2983円だった平均株価は89年12月には3万8130円と4年間で3倍にもなっている。89年の株式の時価総額は890兆円にも登った。

 この間、土地の平均価格も平均して2倍以上に上がっている。東京都の土地の値段が、日本の27倍もあるアメリカ全土の土地の値段にひとしいとまで言われた。89年度で比較すると、日本の地価総額は2153兆円であり、アメリカの地価総額は500兆円だから、ざっと4倍以上である。

 89年には土地と株式の時価総額の値上がり分が535兆円にものぼった。この年、日本国民が稼ぎ出した所得の総和(GNP)が395兆円である。なんと株や土地の値上がり分の方が、勤労所得の1.35倍にも達したのである。このころ評論家の竹村健一が「日本人はもう働かなくていい。資産を運用するだけで食べていける」と言っていた。長谷川慶太郎が「株をやらない者は世捨て人だ」と書いたのもこの頃である。私は馬鹿らしくなって、このころからテレビを見るのを止めた。マスメディアやエライ評論家を信用しなくなった。

 1991年の湾岸戦争が、経済の流れを変えた。数年のうちに日本の株価と不動産は暴落した。そして1980年代の繁栄は実はバブルだったことがわかった。2003年現在、株価も土地の値段もバブル前の価格を割って、さらにとめどなく下落し続けている。そして巨大な不良債権と財政赤字が残された。

 これにたいして、1990年代はアメリカの時代だった。湾岸戦争の時2000ドル台だったアメリカの株式が1万2千ドルまで高騰した。つまり10年間で5倍になったのである。アメリカの強さは金融・情報に強いアングロサクソン型の経済・社会システムにあるといわれた。しかし、アメリカの繁栄も10年で終わった。

 2000年3月10に5049ポイントに達したナスダック指数は、1年半後の2001年9月10日(多発テロでツインビルが倒壊した前日)には1/4の1695にまで下落し、そのあとさらに下落しつつある。ITバブルがはじけて、株価が下落したわけだ。さらにエンロンなどの企業の不正経理が表沙汰になった。アメリカの財政赤字は来年は3000億ドルを越えるといわれている。こうしたなかで、1000億ドルから2000億ドルは必要になると見積もられているブッシュのイラク攻撃がいまや始まろうとしている。

 2000年になって元気なのは中国である。そしてだれもがこれからは中国の時代だという。たしかに中国は年間7パーセントもの高い成長率を維持している。上海などの都市には高層ビルが建ち並び、工場労働者の月給が1万円という安い労働力を背景に、価格競争力の強い中国製品がいま世界を席巻している。

 しかし、中国の時代もいつまでつづくか。日本やアメリカがたどったように、やがてバブルとなってはじけるときがくるのではないか。その理由としては環境問題の深刻化があるが、他にも貧富の差の拡大など懸念材料がいくらもある。上海のビルの所有者はいずれもシンガポールや香港の華僑だという。いずれ劣悪な環境に置かれた一般民衆の不満が中国の政治体制をゆるがす時がくるかもしれない。中国も「上海バブル」だとうかれていてはいけない。日本やアメリカの失敗から、多くを学んで欲しい。

<今日の一句> 残雪の 遠山眺め 日向ぼこ  裕


橋本裕 |MAILHomePage

My追加