橋本裕の日記
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| 2003年02月07日(金) |
豊かさが実感できる生き方 |
先日の新聞で、日本の援助でアフガニスタンに学校ができて、子供たちに笑顔が甦ってきていると報道されていた。援助をしたのは日本ユニセフ協会である。何だか嬉しくなって、何度も記事を読み返した。
うれしかったのは、私自身ユニセフに毎年寄付をしているからだ。自分の出した金がいささかなりとアフガニスタンの子供の役にたっていると思うと、心に灯りが点ったようにうれしくなった。ユニセフに寄付をした人は新聞の記事を読んで、私と同じ幸せな気持ちを味わったのではないだろうか。
ユニセフに寄付を初めてもう10数年になる。きっかけは屋台のラーメンだった。当時定時制高校に勤めていた私は、帰り道にラーメンを食べる癖がついて、これが肥満に拍車をかけていた。ズボンの腰回りやワイシャツの首まわりが段々窮屈になり、限界に近づいていた。
そこでラーメンを食べる回数を減らして、その浮いた金をユニセフに寄付することにした。ラーメンを食べたくなったら、地球上に5億人もいるという飢えた人々のことを考え、我慢をすることにした。そうすると不思議なことに、食欲がいささか収まった。おかげで私の肥満はストップし、ズボンやシャツを新調しなくてもすんだ。今になってみると、一石二鳥のアイデアだった。
オランダに住んでいる日本人書いた本に、オランダ人は倹約家だと書いてあった。例えば女王の誕生日には全国に古物市が立つ。そこで人々は要らなくなったものを出し合い、融通しあう。あるいは車なども個人で持たずにカーシェアリングをするシステムが発達しているという。
しかし、その同じオランダ人が海外援助には熱心で、ODAでは世界のトップ水準にある。国民の半数近くがNGOの活動にかかわり、外国で災害が起きると、まっさきに駆けつけるのはオランダのNGOだといわれる。こうしたオランダ流の生き方は、大いに参考になるのではないか。
先日の朝日新聞の朝刊に、「成長至上主義、日本は変えよ」と題して、ガルブレイス(ハーバード大学名誉教授)の発言が載っていた。いくつかその発言をひろってみよう。
<相変わらず国内総生産、すなわちモノとサービスの総量を拡大することや、雇用率の高さを維持することだけが重視されている。日本のように経済が成熟化した国では、卓越性を測る新たなモノサシが必要である>
<働くことが人間の最終目標でもなかろう。たとえ失業状態でも豊かさを感じる社会作りへと、施策の視点を変えるべきだ。この発想の転換の面で、日本には世界の中でリーダーシップをとってもらいたい>
アメリカ第二の都市ロサンジェルスには金持ちの住む地区があるが、その家々の玄関の前には、「無断で入ると撃つぞ」という暴力的な看板がずらりと並んでいるという。こういう看板を掲げ、毎日銃の手入れをしている金持ち達が、ほんとうに幸せなわけはない。
<アメリカではとても有名な話ですが、1920年代まで、ロサンジェルスは世界でも有数の通勤電車のある街だった。それを自動車会社が買収したのです。彼らは次第に電車を減らしてゆき、不便なものにして、やがて赤字にして廃止した。自動車産業は同じようにアメリカ中の鉄道や路面電車の会社を買収して、車社会を作った。とても暴力的な歴史なのです。自由市場で車文化になったということではないのです>(ダグラス・ラミス、前掲書)
カルフォルニア生まれのラミスは、「ロサンジェルスはとても暴力的な街だ」と書く。そして、「経済発展によって貧富の差がなくなるという幻想は、ロサンジェルスを見れば間違いだと分かります」と書いている。
ラミスは沖縄が好きで、今もそこに暮らしている。彼がなぜ日本に棲みつき、日本の大学で日本人の青年達に政治学を教え、日本人を相手に本を書き続けるのか。それは彼の大好きな日本をアメリカのような暴力的な国にしないためらしい。彼のような知識人の存在は貴重であり、日本と世界の未来に大きな希望を与えてくれている。
(参考サイト) C・ダグラス・ラミス「世界がもし100人の村だったら」
<今日の一句> 神さびて 伊吹山白し 浅き春 裕
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