橋本裕の日記
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2003年02月04日(火) コロンブスがやったこと

 カリブ海に「イスパニオラ」という島がある。ドミニカ共和国とハイチという二つの国がある大きな島である。この島をイスパニオラと呼んだのは、コロンブスである。1492年に彼が最初に発見した「新世界」がこの島だった。

 コロンブスが来たとき、この島にはタノイ族という先住民がいた。コロンブスと彼の仲間達は、先住民の豊かでのどかな暮らしぶりを見て、自分たちは「エデンの園」に迷いこんだのではないかと思ったという。

 何しろ彼らはほとんど「労働」をしない。畑にはいろいろな種類の作物がゆたかに実っているが、彼らが畑で働くのは一週間のうちほんの数時間である。海には魚がいくらでもいるから、食べるものにはこまらない。暑いので裸同然で暮らしている。着るものもほとんど必要ではない。

 つまり、労働をする必要がない。それでは彼らは何をしているかというと、楽器を作り、歌ったり踊ったりしている。あるいは語り部の話す物語に耳をかたむけている。女達は髪飾りやネックレス、イヤリングをとても器用に作る。

 とくにコロンブスたちが羨望をいだいたのは、彼らの開放的なセックスのようすだったという。恋人同士はあけっぴろげにお互いを求めあい、しかも抱擁している時間が気が遠くなるほど長い。ろくに労働もせず、歌ったり踊ったり、そしておおらかに延々と続くセックス。たしかに楽園としか思えない。

 コロンブスは彼らから金や銀でできた飾りをもらい、二人のタイノ族を人質にしてスペインに帰った。そして、スポンサーのイザベル王女に、新世界には金や銀が豊富にあり、健康で丈夫な「奴隷」もたくさんいると報告する。そしてイザベル王女からお金を貰って、ふたたびイスパニオラにやってきた。

 そこでコロンブスがしたことは、タノイ族を奴隷にしてプランテーション農業をはじめることだった。しかしタノイ族には働く習慣がない。武器で脅しても座り込んで働こうとしないうえ、むりに働かせると、誇り高い彼らはすぐに病気になって死んでしまう。そして、あんなにセックスが好きだった彼らが、ほとんど性行為をしなくなる。こうしてタノイ族は100年間で全滅してしまった。

 そこでスペイン人はかわりにアフリカから奴隷を連れてきて働かせはじめた。現在、カリブ海の島々に住んでいるのはほとんど黒人か、黒人と白人の混血だという。彼らはおそらくそこに先住民の豊かな暮らしがあったなどと夢にも思わないだろう。なぜなら先住民は全滅してしまったからだ。もう、どこにも先住民の文化は残っておらず、その記憶も滅びて、彼らの伝説を知る人はいない。

(参考文献) 「経済成長がなければ私たちは豊かになれないのだろうか」
         ダグラス・ラミス著 平凡社 

<今日の一句> 星の夜 どこかの家で 福は内  裕

 昨日は節分でした。わが家でも豆を食べました。しかしもう以前のように、「福は内」とはなばなしく豆をまいたりはしません。心のうちで、「みんなが幸せでありますように」と祈りながら、静かに豆をいただきました。


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