橋本裕の日記
DiaryINDEX|past|will
| 2003年01月30日(木) |
平和祈念施設について |
一昨日の日記で、「追悼・平和祈念施設」の実現を訴えた。ところで、この施設がどのような意図で設置されようとしているのか知るために、平成14年12月24日に出された「追悼・平和祈念のための記念碑等施設の在り方を考える懇談会」の報告書を見てみよう。
<本懇談会は、昨年12月14日、内閣官房長官から、何人もわだかまりなく戦没者等に追悼の誠を捧げ平和を祈念することのできる記念碑等国の施設の在り方について、国の施設の必要性、種類、名称、設置場所等につき幅広く議論するよう要請を受け、今日までおよそ1年をかけて検討を重ねてきた。本報告書は、その検討結果をまとめたものである>
<なぜ、今、国立の追悼・平和祈念施設を必要とする時期が来たと考えるのであろうか。 日本の戦後に即して言えば、先の大戦の終結を意味する講和・独立から約半世紀、そしていわゆる冷戦終結から約10年がたち、グローバル化の進む中、新たな国際社会形成の動きが見られるようになっている。また、いわゆる9・11テロに見られるような世界平和への新たな挑戦が生まれている現在、平和についての国民の関心も高まってきている。さらに、近隣諸国等も、国際社会における日本の今後の在り方に注目している。 このように、日本をめぐる内外の環境は大きな変革期の真只中にある。こうして迎えた21世紀の初頭であるからこそ、「戦争と平和」にこれまで以上に思いを致し、日本が平和を積極的に求め行動する主体であることを、世界に示す好機と考える。 国内においても、とりわけ戦争も戦後の混乱等も知らない世代が国民の大半になることが予想される今こそ、この若い世代へ向けて、「戦争と平和」に思いを巡らし、「平和国家」日本の担い手としての自覚を改めて促す節目のときに違いない。 要するに、国際社会の中で自ら一人のみで生きる国家という在り方がもはや困難になっている今日、日本は、他国との共生を当然の前提としつつ、追憶と希望のメッセージを国家として内外に示す必要がある>
<言うまでもなく、明治維新以降日本の係わった対外紛争(戦争・事変)(以下、「戦争」と略称)における死没者は極めて多数に上る。特に、苛烈を極めた先の大戦では、幾多の尊い生命が失われただけでなく、一命をとりとめた者にも、生涯癒すことのできない深い傷跡と後遺症を残し、今なお数多くの人々に深い苦しみと悲しみを与えている。 また、戦後、日本は、日本国憲法に基づき、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し、日本と世界の恒久平和を希求するようになったが、その後も日本の平和と独立を守り国の安全を保つための活動や日本の係わる国際平和のための活動における死没者が少数ながら出ている。 私たちは、このような事実を決して忘れてはならず、日本の平和の陰には数多くの尊い命があることを常に心し、日本と世界の平和の実現のためにこれを後世に継承していかなければならない。 先の大戦による悲惨な体験を経て今日に至った日本として、積極的に平和を求めるために行わなければならないことは、まずもって、過去の歴史から学んだ教訓を礎として、これらすべての死没者を追悼し、戦争の惨禍に深く思いを致し、不戦の誓いを新たにした上で平和を祈念することである。 これゆえ、追悼と平和祈念を両者不可分一体のものと考え、そのための象徴的施設を国家として正式につくる意味があるのである>
<この施設は、日本に近代国家が成立した明治維新以降に日本の係わった戦争における死没者、及び戦後は、日本の平和と独立を守り国の安全を保つための活動や日本の係わる国際平和のための活動における死没者を追悼し、戦争の惨禍に思いを致して不戦の誓いを新たにし、日本及び世界の平和を祈念するための国立の無宗教の施設である>
<追悼の対象は、国のために戦死した将兵に限られない。空襲はもちろん、戦争に起因する様々な困難によって沢山の民間人が命を失った。これらの中には既存の慰霊施設による慰霊の対象になっていない人も数多い。 さらに、戦争の惨禍に思いを致すという点では、理由のいかんを問わず過去に日本の起こした戦争のために命を失った外国の将兵や民間人も、日本人と区別するいわれはない。戦後について言えば、日本は日本国憲法により不戦の誓いを行っており、日本が戦争することは理論的にはあり得ないから、このような戦後の日本にとって、日本の平和と独立を害したり国際平和の理念に違背する行為をした者の中に死没者が出ても、この施設における追悼対象とならないことは言うまでもない>
参考までに、懇談会の座長は経団連会長・今井敬、座長代理は劇作家・山崎正和 、委員として、東江康治、上島一泰、上坂冬子、草柳文惠、坂本多加雄、田中明彦、西原春夫 、御厨貴 の方々が参加している。報告書の全文は首相官邸のHPに掲載されている。 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tuitou/kettei/021224houkoku.html
<今日の一句> みな人の 吐く息白し 雪が降る 裕
|