橋本裕の日記
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今年から年賀状を全廃したかったが、妻が、先々を考えて彼女の父親と弟の2枚だけは書きなさいという。その2枚とS子さんへ書いた。福井の実家にも出すべきかもしれないが、こちらは初志貫徹ということで勘弁して貰った。昨年度の年賀状で「全廃」しますと宣言したが、3枚だけ例外を作った。
例年に比べると賀状の数がかなり減ったが、それでも40通以上が来た。中には、「賀状がないと淋しい。でも返信は不要です」と書いて下さった方もいた。そうした方もふくめて、頂いた方には返礼を差し上げることにした。
あらかじめ印刷した紙を封筒に入れて出すだけだが、余白に一言、二言書き込んでいると、いつの間にか時が過ぎていた。自分は横着をして、相手の好意や愛情だけ頂いているのだから、いくらか気が引けたが、相手からの年賀状に感謝したり味わったりしながら、あれこれ思い出に耽った。
教え子の一人から来た賀状には家族の写真が載っていた。私は二児の母親になった彼女の笑顔に見とれた。卒業式のあとのクラスのコンパの席で、彼女は「先生、好きよ」と言って、私の片頬にキスをしてくれた。その少女がいつか和服の似合う奥さんになっている。
最初の赤ちゃんが生まれたとき、私は別の高校に転勤していたが、彼女はご主人の運転する車で学校まで会いに来てくれた。そして学校の会議室で、私は彼女の赤ちゃんを抱かせて貰った。
私の胸に抱かれていた赤ん坊が、小学生の上級生になっていた。黒い洋服の晴れ着の胸に、赤い花をさして、大人びた様子で椅子に坐って微笑している少女を眺めながら、私は過ぎ去った日々のことを思い出し、何ともいえない幸福感を味わっていた。
<今日の一句> 教え子も 母のほほえみ 年賀状 裕
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