橋本裕の日記
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2002年12月04日(水) 風変わりな友人

 先日、大学時代からの友人が私の家に遊びに来た。浜松の近くに住んでいる彼は、年に一度だけ私の家に遊びに来る。来るのは決まってこの季節で、彼の家の畑でとれたミカンを大量に手提げに入れて持ってくる。

 JR木曽川駅から家まで20分ほどあり、結構な量のミカンを運んでくるのは大変である。たとえ土産がなくとも、客人に寒い中を歩かせていけないと思い、車で駅まで迎えに行くからと言うのだが、必ず歩いてやってくる。

 私に手数をかけさせたくないという遠慮ではない。自動車を使うと無駄なエネルギーを消費することになるという理屈からだ。自家用車に乗らないことが彼のポリシーなのである。だから、帰りも決して私の車に乗らない。頑固にひとりで歩いて帰る。

 寒がりの私は電気ストーブを出してあるが、彼の前でストーブなどのたぐいを使うことも御法度である。石油ストーブも電気炬燵もエネルギーの浪費だからいけない。彼が私の部屋にいる間、暖房はなく、寒々とした中で私は彼と向かい合うことになる。

 もう十数年前になるが、彼が名古屋のアパートにいた頃、遊びに行ったことがあった。部屋は閑散としていて、箪笥も本棚もテレビも見当たらない。この時は真冬だったがやはり炬燵もストーブもなく、私は体の芯まで冷え込んで、そのあと風邪をひいて寝込んでしまった。

 妻にこの話をすると、「あなたの友人はみんな変わっているものね」と笑われた。その通りなのだが、なかでもT君は一番の変わり者である。二人でする会話も浮き世離れがしていて、話題は哲学や宗教のことばかり。この日は主にジョン・ロックの哲学や社会思想についてあれこれ語り合った。

 語っているうちに私も興奮してきて、いつか寒さを忘れている。清談とはこのことだろうが、T君を玄関先に送り出した後、私が最初にやったことは、電気ストーブのスイッチを入れて、その前に思い切りかじりつくことだった。

<今日の一句> 寒菊の 匂ひさわやか 湯浴して  裕


橋本裕 |MAILHomePage

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