橋本裕の日記
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2002年11月08日(金) 漱石の皇室批判

 漱石は皇室についてどう考えていたのか。小説「坊ちゃん」には明治天皇の「ご真影」と宿直の話が出てくる。また「こころ」には乃木大将の殉死の話しが出てくるが、博士号返還問題などで物議を醸した個人主義者漱石が、皇室をそれほど尊敬していたとは思えない。「漱石ゴシップ」(長尾剛 文春文庫)に漱石の日記が紹介されているので、引用しよう。

「皇后陛下と皇太子殿下が席でタバコを吸っていた。しかし俺達の席は禁煙だ。これは不公平できにくわん。きせるにタバコを詰めるのを従者にやらせるのも気くわん。そんなことがどれほどの手間だというのだ。自分でやれ」(明治45年6月10日、能の観劇会の印象)

「川開きが中止になれば、それを商売としている者たちはたちまち困るんだ。何も川開きをやったからといって、そのために天子の症状が悪化するわけでなし、やらせればいいじゃないか」(明治45年7月20日。天皇重体で)

 さすがに戦前の岩波全集ではこの部分は削除されていたそうだが、予想通りかなり手激しい。もっとも漱石は天皇制そのものに反対ではなく、「天子の病気は万民の同情に値する。しかし、いたずらに天子の症状を大騒ぎするのはかえって天子の徳を傷つけるのだ」とも書いているそうだ。

<今日の一句>  ストーブに 身を寄せて聴く 風の音  裕


橋本裕 |MAILHomePage

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