橋本裕の日記
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2002年09月09日(月) 結婚まで

16.理科の授業

 私は数学科で採用試験を受け、数学の教師になる予定だった。しかし、採用されたとき、理科と物理を教えて下さいと校長に言われた。私にとってはこの方がありがたかった。非常勤講師で一年間勤めた高校では数学を教えていたが、もともと私の専門は物理学である。校長も教育委員会もこのことを知って、私を理科の教師として採用することにしたのだろう。

 1年生の3クラスに「理科」を教え、3年生の1クラス(選択クラス)に「物理」を教えることになった。「理科」というのは、物理の他に生物や化学、地学も入っている。化学や地学は物理の親戚のようなものだからよいが、生物は専門外である。しかし、そうした新しい分野の勉強もなかなか楽しいものだった。

 とくに面白いと思ったのは進化論で、さっそく何種類かの本を買ってきて勉強をした。なぜ生物にオスとメスがいるのか、キリンの首はどのようにして長くなったのか、恐竜はどうして絶滅したか、いろいろな説があって、素人の私でも空想をたくましくできる余地がありそうで楽しかった。

 机は職員室と物理準備室にあった。私は朝の職員朝礼が終わると、そのまま別棟の3階にある準備室に向かった。あとはほとんど一日を準備室で過ごすことになる。準備室には私の机の他に実習助手の岩野さんの机と、化学を教えている若杉先生の机があった。若杉先生は4階の化学準備室に机があったが、昼食時になると私たちのところへ来て一緒に食べた。私より数歳年下の、誠実で親切な、どちらかというと学究肌のおだやかな先生だった。

 助手の岩野さんは、30代後半の色の浅黒い気さくな性格の人で、私にとって一番頼りになりそうな人だった。実際に理科の知識があり、手先も器用なので、実験の道具や装置はほとんどこの人に作って貰った。

 授業はとなりの物理室で行った。生徒が時間になれば向こうから来てくれるわけだから、すこぶるらくちんである。一クラス45名ほどいた。いくらか女子の方が多い。新任と言っても、非常勤講師の経験があるから、授業の進め方はわかっている。私語をする生徒もなく、私の話を顔を上げて聞いてくれる。50分がなんの苦痛もなく過ぎていく。一段高いところからもっとも得意な話をするのは、自分がひとかどの人物になったようで、とても気持のよいものだった。

<今日の一句> 庭蛙 さがし疲れて 白い花  裕


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