橋本裕の日記
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2002年08月18日(日) 指輪の魔力

 一昨日、NHKの「指輪物語のルーツを求めて」をみた。女優の荻野目慶子さんが、伝説の魔力のリングを探しながらフランスやドイツ、北欧の神話世界を旅し、指輪をめぐるヨーロッパ文化の源流にスリリングに迫っていた。
 
 ヨーロッパの人々はなぜ指輪にこのような不可思議な魔力を感じるのか、その謎解きの旅でもあり、あまりテレビを見ない私が、不倫したい女優のNo1だという荻野目慶子の清楚で妖艶な魅力と、中世ヨーロッパにたちこめる何やら神秘的な歴史の香り、そして指輪の謎をめぐるサスペンスと知的好奇心に駆られて、思わず最後まで見てしまった。

 指輪は私たち日本人にはたんなる装飾品の一種だが、ヨーロッパの人々にとってはそれは身を守るための呪具でもある。指輪には聖なる力が宿ると信じられてきた。たとえばドイツのルートビッヒ二世は中世の指輪伝説に魅せられ謎の死を遂げた。ロシア最後の皇帝ニコライ二世は「神よ守りたまえ」と刻まれた指輪を、処刑数日前まではめていたという。

 そううした歴史上の人々のゆかりの指輪や伝説を荻野目慶子さんはヨーロッパ各地に尋ねながら、最後は北欧の小さな島(ゴッドアイランド)にたどりつく。バイキングの古い遺跡と伝統的な文化が残るその島で、彼女はついに一人の老婆の口からリングの正体を聞かされる。そしてそれは何かというと、「日輪」である。

 北欧の人々にとって、太陽は何よりも貴重な生命の源であり、恵みであった。黄金のリングはこの太陽の偉大な恵みの力の象徴である。そしてこれを身に着けることによって、人間はその聖なる力と合体することができた。

 もちろん、太陽崇拝は北欧ヨーロッパだけではなく、洋の東西を問わずにほとんどの民族が共有していた信仰である。こうした普遍的な信仰が、北欧ではリングという独特の象徴物を生みだし、やがて壮大な伝説を育てたわけだ。

 ところで、日本の場合、この指輪に相当する聖なる象徴物はなんだろうか。三種の神器のなかからさがしてみよう。いうまでもなくそれは「鏡」である。鏡は丸い形をしている。そしてその意味は「かがやくもの」という意味である。私たちの先祖は鏡を太陽の分身として崇めた。正月に飾る「かがみもち」もまた太陽の分身であるのかも知れない。

<今日の一句>  蟋蟀も 何やらたのし 月の夜  裕


橋本裕 |MAILHomePage

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