橋本裕の日記
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2002年08月16日(金) 失読症の人々

 オリンピックの閉会式に続き、18日のシドニー・パラリンピック大会の開会式のセレモニーに、オーストラリアの人気歌手、バネッサ・アモロシさん(19)が参加するという。「どんな人にも神様がくれたパワーがある」という思いを込めて作曲した「THE POWER」を披露する。

 彼女自身、「失読症」という障害を抱えている。「失読症」の人は文字や文章の認識が苦手で、本を読んでもらえれば、内容をちゃんと理解できるのに、自分では読めないし、スペルを綴ることもすらすらできないという。音読も出来ないことが多い。

 アメリカにはこの障害を持つ人が400万人ほどいて、学校に適応できず、中退する人も多いようだ。結構ポピュラーな病気でありながら、私も実は最近までうかつにもこうした障害が存在することを知らなかった。バネッサさんはインタビューで、こう述べている。

「私自身、失読症という障害を持っていて、障害っていうことへの隔たりは感じられないの。今は専門学校で、健常児が障害を持つ人に教えられて障害というものを理解できるようにするプログラムを勉強しています。障害者は違ったタイプの普通の人なんだから、もっと障害者への認識を高めるように努めています」

 失読症の人は物事を視覚的に捉える傾向があるという。イメージで直感的に思考するために、文字や数字、記号、文章などを理解するのが難しいこともあるが、芸術表現や創造的な能力にすぐれた人が多い。たとえば、発明王トーマス・エジソンや物理学者アルベルト・アインシュタインらの偉人がそうで、彼等は学校教育には適応できなかったが、最高度の知能と創造性を持っていた。レオナルド・ダ・ビンチやピカソのような芸術の大家も失読症だったといわれている。

 アメリカの大統領ブッシュも失読症だそうだ。ブッシュ大統領のスピーチは小学生が本を棒読みしているようだと言われ、インタビューに答えたりするような即興のスピーチでは、「あー、あー、」と言葉に詰まってしまって、見ていて気の毒である。こうした醜態を日常的に演じるので、ブッシュは「知能が低い」などと雑誌などでたたかれている。

 スウェーデンでは、12日にビクトリア王女(25)が12日、子供時代に文章を声に出して読めない失読症でいじめられたことを公表した。王女は「学校は楽しかったが、生徒への要求が多かった。読み書きの難しい子供にとってつらい時もある」と読み書きの苦手な子供への思いやりを訴えたという。

 王女はカール16世グスタフ国王の長女で王位継承権第1位。98年から2年間、米国のエール大学で歴史学などを学び、現在は学校教育の向上に貢献する仕事を目指しているという。見事に「失読症」を克服して、社会の最前線で活躍している。

 失読症は遺伝性だと言われている。グスタフ国王や王女の弟のカール・フィリップ王子も「失読症」だった。ブッシュの家系にも弟のニール・ブッシュの他何人か失読症の人がいる。しかし、「失読症」は適切に治療すれば矯正が可能だという。有名人の中にはこれを克服して、活躍している人が多い。

 たとえば、カラーパープル、ゴーストに主演している黒人コメディアン、ウーピー・ゴールドバーグは、子どもの頃からまわりから馬鹿だと言われていたが、失読症であると本人が知ったのは大人になってからだそうである。トム・クルーズやウーピー・ゴールドバーグ、そしてテレビ・トークショーホスト、ジェイ・レノらも失読症で学校教育にはうまく適応できなかったが、社会では成功を収めている。

<今日の一句> 音のみを 楽しんでをり 花火祭  裕


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