橋本裕の日記
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2002年05月28日(火) 「二次方程式と因数分解」(1)

 今日は「二次方程式と因数分解」の話をしよう。あまり数学の得意でない社会人のグループの勉強会に招かれて、中学生レベルの数学を教材にして数学がどんな学問かわかりやすく話をしてくれと言われたとする。私なら、こんな風な話をするだろうという、まあ、一種のデモンストレーションである。

 小道具としてトランプを使う。数学は魔術ではないが、どこか似た雰囲気がないでもない。そこで、雰囲気作りのために、何かトランプを使った奇術でも披露したいところだが、あいにく私にその才能はない。そこで、前置きは抜きにして、トランプの一枚をみんなの前に数字が見えないように差し出して、その数字をあてさせる。

私「誰かこの数字をあてて下さい。Aさんどうですか」
A「わかりません」
私「全然分かりませんか。これはトランプですよ。可能性としては、どうですか」
A「1から13までの数字のどれかです」
私「そうですね。だったら、あててみて下さい。やまかんでいいのですよ」
A「7です」
私「残念でした。7ではありません。それじゃ、ヒントをあげます。5で割ると2あまります」
A「あっ、わかった。12です」
私「正解です。ほら、このとおり12ですね。それじゃ、Bさんに質問しましょう。Aさんはどうして正解が分かったのでしょうか」
B「1から13のうちで、5で割ってあまる数字は7と12です。5でないとすると12ということになります。Bさんはそんなふうに考えたのだと思います」
私「Aさん、Bさんのいう通りですか」
A「その通りです」
私「そうですね。数学の問題の答えは一つとは限らない。たくさんある場合があります。また、問題によっては条件がいくつか与えられる。その条件によって答えが絞り込まれます。最終的にただ一つの答えになることもあります。答えがないということも起こってきます。そのときは<解なし>が正しい答えです。
 いずれにせよ、推論さえまちがっていなければ、数学の問題はだれが解いても同じ答えになります。だから正解は一つだけです。これはありがたいですね。数学が入試問題として重宝がられるのもわかります。
 余談はこのくらいにして、次の問題にうつりますよ。Cさん、このトランプの数字をあててください。ヒントをあげます。この数字を2乗して1を引くと8になります」
C「3です」
私「どうして分かりましたか」
C「1を引く前は9です。2乗して9になる数字は3しかありません」
私「2乗して9になる数字は本当に3だけでしょうか」
C「−3もありますが、1から13までの数字に限定すると、3です」
私「その通りですね。そこで、いまCさんが言った内容のことを、式で書いてみますね。ちょっと黒板を見て下さい。未知の数字を X と書くと、こんな式が成り立ちますね。なお<2>で、<2乗>を表すことにします。

  X<2>−1=8, X<2>=8+1、 X<2>=9、 X=+−3,
  1≦X≦13より、 X=3 (答)

 ところで、X<2>−1=8のような式を「Xの二次方程式」といいます。これが解ければ答えがわかりますね。さて、それではウオーミングアップはこの位にして、本命の問題を出します。Dさんの番ですよ。覚悟はいいですか」
D「わあ、こまりましたね」
私「この数字を2乗した値に、この数字を2倍した値を足して、さらに35を引くと、その値は0になります。この数字をあててください」
D「急に難しくなりましたね。まったく分かりませんよ」
私「そう言わずに、頑張ってみましょう。Dさん、黒板に式を書いてみて下さい」

 こんな風に、「二次方程式と因数分解」の授業は始まる。ちなみにDさんは次のような式を書いてくれた。
    x<2>+2x−35=0
 問題はこの式をいかに解くかである。数学苦手な人々に、これをどう理解させたらよいだろうか。「理論的で実践的」な授業の模範を示したいところだが、さて、うまくいくかどうか、続きは明日の日記にしよう。

<今日の一句> 稲びかり 十七文字に 天と地を   裕  


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