橋本裕の日記
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2002年04月07日(日) 物知りの地理学者

 6番目の星には、物知りの学者が住んでいた。彼は何冊も、大きな書物を書き、書物に囲まれて暮らしていた。「その大きな本はなに? ここで、何をしているの?」と、王子さまが訊くと、「わしは地理学者だ」という。

「地理学者って?」
「海や川、町や山や、砂漠がどこにあるのか、そんなことを知っている学者のことだよ」
「そりゃおもしろいなあ、ほんとうに。そんなのが、ほんとうの仕事ですよ」

 王子さまは、少し感心する。そして、この星のことについて訊ねる。山や川や海がどこにあるのか、町や砂漠について訊く。しかし、学者はそんなことは知らないという。地理学者は探検家が来たら、話を聞いいて、ノートにとる。それが仕事で、実際に探検に出かけたりはしない。

「あんたは、遠いところからやってきたんだ。りっぱな探検家だ。あんたの星のこと話してもらいたいね」とおだてられて、王子さまは、自分の星の話をはじめる。ちっちゃい星で火山が3つあって・・・。

「花も一つあるんです」
「わしたちは花のことなんか書かんよ」
「なぜ? とっても美しいんですよ」
「花というのははかないものだからね」
「はかないってなんのこと?」
「そりゃ、そのうちに消えてなくなるという意味だよ」
「ぼくの花、そのうち消えてなくなるの?」
「うん、そうだとも」

 王子さまは、花のわがままががいやになって、星を飛び出した。しかし、「花というのは、はかないものだ」ときいて、身のまもりといったら、四つのトゲしか持っていない、星にひとりぼっちにしてきたその花が、ふとなつかしくなった。しかしまだ、ふるさとの星に帰る気にはならない。

「地球を見物しなさい。なかなか評判のいい星だ」と地理学者に勧められたからだ。そこで、遠くに残してきた花のことを考えながら、王子さまはふたたび旅に出る。そして訪れた7番目の星が地球だった。

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 7番目の星、地球には、たくさんの王様や、地理学者や、実業家、のんだくれ、うぬぼれたちが住んでいた。そこで人々は、権力や知識、財産、快楽、賞賛などを求めて生きている。しかし、そのいずれもが、王子さまの目には、あまり幸福には見えない。

 それは彼らがみんな、自分のことしか考えようとしないからだ。人生にはそれ以外に、もっと大切なものがある。それでは、人間にとって一番大切なもの、それはなんだろう。その答えがわかったとき、王子さまは、ふるさとの星に帰る決心をする。

「ぼく、あの花にしてやらなくちゃならないことがあるんだ。ほんとに弱い花なんだよ。ほんとにむじゃきな花なんだよ。身の守りと言ったら、四つのちっぽけなトゲしか、もっていない花なんだよ・・・」

<空をごらんなさい。そして、あのヒツジは、あの花をたべただろうか、たべなかっただろうか、と考えてごらんなさい。そうしたら、世のなかのことがみな、どんなに変わるものか、おわかりになるでしょう・・・>作者のサン・テグジュペリは最後の方で、こんなふうに私たちに語りかける。そして「大人たちは、決してこのことを理解しないだろう」と付け加える。


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