橋本裕の日記
DiaryINDEX|past|will
イルカは知能が高いことで知られている。実際、全身に対する脳の大きさの比率を考えると、イルカは人間についで2番目に大きい。ゴリラのような大型類人猿でも、脳の大きさの比率は、イルカの半分にすぎないという。
そこで、イルカはどのくらいの知能をもっているのか、特に言語能力があるのかどうか、興味が湧いてくる。言語能力に関して言えば、これまでに様々な研究が行われて、イルカはかなりのレベルに達していることが分かっている。
たとえば、イルカは持っている音声の種類が非常に豊富で、仲間の発する声を聞き、そこからしかるべき情報を抽出して、ふさわしい反応をとっているようだ。しかもイルカのこのコミュニケーション能力は生得的なものばかりでなく、あたらしい声を学習することができる。
野生のイルカは単に「言葉」を知っているだけのようだが、訓練すれば彼らはそれらの「言葉」を組み合わせてできる一つの文章を理解するようになる。たとえば調教師がイルカに「輪をくわえてパイプのところまで運ぶ」という行動をさせようとすれば「輪」「運ぶ」「パイプ」の単語を覚えさせて、このような順序で「言葉」を並べて文を作り、覚えさせる。
イルカは語順を理解することができる。だから、「パイプ/運ぶ/輪」という信号を送れば、彼らは「パイプを輪のところへ運ぶ」という風に理解する。また、こうした文系を一度覚えてしまうと、彼らは初めて学習した新しい言葉についてもこの型を使うことができる。
つまり、綱と籠という言葉を学習した後、「綱/運ぶ/籠」という文を示すことで、彼らは綱を籠まで運んでくれる。こうして、彼らに長さが2語ないし5語からなる数百の文を記憶させ、それぞれ違った複雑な動作を示すように訓練することも可能なのだという。
こうしたイルカのめざましい知能を知ると、彼らがかなりの言語能力を持っていることを認めたい気持になる。しかし、イルカの言語能力には決定的な限界があることも事実だ。それは彼らが文を理解できても、文を作ることはできないということである。
彼らが野生の状態で、文を作り、これを仲間同士で理解し合うことはない。イルカが海中で人間のように楽しく会話しているというのは、いまのところ単なる空想にしか過ぎないようだ。
|