橋本裕の日記
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2001年12月15日(土) 大切な情報リテラシー

 私の文章にはかなり数字が出てくる。北さんは数字アレルギーで、数字がたくさん出てくる文章は読む気がしないらしい。「統計で嘘をつく方法」という本を読んで、数字いかにあてにならないか、思い知らされたいう。学校でわけのわからない計算計算をやらされた後遺症ばかりではなさそうだ。

 北さんの文章を読んで、ふと、サン・テグジュペリの「星の王子さま」の一節を思い出した。内藤濯(ないとう あろう)さんの訳で、紹介しておこう。

「おとなというものは、数字が好きです。新しくできた友だちの話をするとき、おとなの人は、かんじんかなめのことはききません。<どんな声の人?>とか、<どんなあそびが好き?>とか、<チョウの採取をする人?>というようなことは、てんできかずに、<その人いくつ?>とか、<きょうだいは、なん人いますか>とか、<目方はどのくらい?>とか、<おとうさんは、どのくらいお金をとっていますか?>とかいうようなことを聞くのです。

 おとなの人たちに、<桃色のレンガでできていて、窓にジュラニウムの鉢がおいてあって、屋根の上にハトのいる、きれいな家をみたよ・・・・>といったところで、どうもピンとこないでしょう。おとなたちには<十万フランの家を見た>といわなくてはいわなくてはいけないのです。すると、おとなたちは、とんきょうな声をだして、<なんてりっぱな家だろう>というのです」

 実は私も、あまり数字が好きではない。むしろ詩や小説のたぐいが好きで、「星の王子さま」は昔からの愛読書である。数字大嫌い、計算問題大嫌いであるが、その不愉快な数字や計算式を多用しなければならない、なんとも殺伐とした世界に私たちは住んでいる。個人的にはこういう世界とはできるだけ早くおさらばしたいものだと思っているのだが・・・。

 数字で嘘をつくことのうまい政治家に、北さんは田中角栄をあげていたが、現代の政治家では石原慎太郎がその筆頭だろう。医療民営化問題などで、彼が公立病院の非効率を示すために使った数字に疑問をもった医者が、厚生省に問い合わせたところ「そうした統計がございません」という解答をえたという。

 石原都知事といえば、最近では首都機能移転問題を審議する衆院の特別委員会で、11年前に行われた国会の首都機能移転決議について、虚偽の発言を繰り返したという疑惑が浮上している。

 石原知事は90年11月7日に行われた決議案採決について「自民党で座った(反対した)のは私を含めて4人」「とりあえず首都を移すという、こんなばかな決議をした国会というのは、世界中ないよ」「一種の暗黒裁判」などと発言を繰り返したという。

 ところが新聞社が保管していた当時の写真に、衆院議員だった石原氏の席で起立している男性議員の姿が写っていたという。記者会見した永井委員長は「決議に反対したことを前提に陳述しており、事実なら国会の権威を失墜させる」と語った。つまり、「こんなばかな決議をした国会というのは、世界中ないよ」といいながら、自分もそのときその議決に荷担していたわけだ。

 石原知事は珍しくビジョンを語ることの出来る政治家だと思う。しかし彼が口にする威勢の良い言葉は、俗耳にはいりやすいだけに、本当に真実かどうか、よほど慎重に検討してみる必要があると思う。とくに彼の口にする統計は、眉唾物がおおいのではないだろうか。

 ちなみに、私がこの日記でつかう数字は、ほとんど「朝日新聞」と「毎日新聞」の記事から取っている。しかし、こうしたメジャーな新聞社の統計が必ずしも正しいかどうか、保証の限りではない。たとえ数字は正しくても、それをどう扱うか、テニオハ一つで、内容は180度変わってしまう。

 情報が氾濫するこの時代、やはり一番大切なのは「自分の頭で考える」ということと、「健全な懐疑の精神」ではないだろうか。これからの教育の根幹に「情報リテラシー」を据えるべきだろう。

 


橋本裕 |MAILHomePage

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