橋本裕の日記
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ニューヨーク市保健当局は30日、眼科・耳鼻咽喉科病院職員の女性(61)が肺炭疽を発症していることが確認されたと発表した。危篤状態に陥っており、感染源などを尋ねることもできないという。
ニューヨーク市内での肺炭疽患者の確認は初めてで、感染経路が確認できないため市民に不安が広がっているようだ。報道機関や郵便局と無関係の一般市民では2人目の発症で、これで全米の発症者は計16人になった。うち3人が肺炭疽で死亡している。
米捜査機関は、世界各地に拠点を置くアルカイダの傘下組織が、アフガニスタン国内に潜伏するビンラディン氏からの指示なしに、米国へのテロ攻撃を行う恐れもあるとみて警戒を強めている。今後1週間以内に、さらなるテロが実行される可能性が強いという。
これをうけて、アシュクロフト米司法長官が29日に「テロ警報」を発した。レベル9から10の厳戒態勢を敷いているといいながら、炭疸菌の被害は沈静化する様子を見せない。これからまだ被害が拡大しそうな不気味な様相を見せている。
そもそも、ダシュル民主党上院院内総務あてに送りつけられた封書に入っていた炭疽菌胞子は、茶さじ1杯分(2グラム)程度である。ところがこれだけで、約200万人に肺炭疽を発症させられるのだという。
旧ソ連で長年、生物兵器研究に携わったケン・アリベック氏によれば、「細かい粒子になっていれば、理論的には約2000万人の致死量に相当」するのだという。これだと茶さじ10杯もあれば、日本人は全滅だと言うことになる。生物兵器が「貧者の核弾頭」といわれるのも、もっともだ。
問題は、こうした生物兵器を使ったテロに対して、私たちはほとんど対抗する手段をもたないということだ。私たちは科学技術の高度に進歩した社会にすんでいる。しかし、私たち自身の中身はそれに見合う進歩をしているとは限らない。社会のシステムも、いまだに不合理な原始状態に取り残されている。
科学技術の高度な進歩と、社会や人間の進歩を同調させる必要がある。そうしないと、私たちの文明はますます脆弱なものとなり、人類の未来ははかなく、ものわびしいものになるだろう。
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