橋本裕の日記
DiaryINDEXpastwill


2001年10月22日(月) 国旗への忠誠

 昨日は旅から帰って、この3日間のメールチェックや、録画しておいたビデオのチェックをした。中でもNHKのクローズアップ現代「アフガン難民の現状」には、心が動かされた。一度に現実に引き戻されたという感じである。

 ところで、これはメールマガジンの記事で知ったことだが、10月12日の金曜日、東部時間の午後2時に全米の小中学生全員が一斉に「国旗への忠誠」の唱和をさせられたそうである。教育長官の指示ということで相当に徹底されたようだ。

 日本では「国旗への忠誠」などというと、軍国主義の復活が頭に浮かぶが、アメリカでは国旗に忠誠を誓うということは、すなわち建国の精神である「自由と民主主義の象徴」に忠誠を誓うということで、人民主権という伝統を支えるための行為とされるらしい。そのせいか、「国旗への忠誠」という行為は割合抵抗なく受け入れられるのだろう。

 それでも、全米一斉に学校で唱和を強制するということは、まったく異例なことで、合衆国憲法の精神にも違反しているという議論もあったらしい。「唱和」を伝えたCNNのニュースキャスターは「子ども達は可愛らしいけど、なんだかオーバーですねえ」と言って苦笑していたという。

 アメリカでは同時多発テロに続いて、炭疸菌事件が起こり、先日はとうとう下院まで汚染されて閉鎖されるという事態になった。折からの景気後退に加えて、こうした一連の出来事で飛行機の旅客は落ち込み、航空業界や旅行会社の収益悪化が懸念されている。

 テロリストに乗っ取られたユナイテッド航空やアメリカン航空はいうまでもなく、コンチネンタル、ノースウエストといったアメリカの代表的な航空会社が9月末の時点で、すでに13万人以上もの社員に一時解雇通知を手渡したという。

 こうした不況の波は航空業界のみならず、観光・ホテル業界や、自動車業界、IT業界等にまで及んでいる。解雇された人々に同情はするが、それでもアフガンの人々の悲惨とは比べようもない。アフガンの難民には、失業保険もなく、水や食料や家もなく、抗議すべき政府さえまともに機能していない。

 アフガニスタン全土に空爆が拡大され、地上部隊も一部投入され、タリバン制圧の作戦は一応順調に進んでいるようだが、「国旗に忠誠」ということが大々的にセレモニーとして行われたのは、アメリカもかなり心理的に追いつめられていたのかも知れない。


橋本裕 |MAILHomePage

My追加