橋本裕の日記
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2001年09月30日(日) 秋の夜の夢

 昨日は4時頃までテニスコートで部活の指導。そのあと、急いで名古屋の東別院近くにある名古屋市女性会館にかけつけた。そこで演劇グループ「紙ふうせん」の公演を見るためである。

 出し物はシェークスピアの「真夏の夜の夢」である。友人のK氏が森の妖精たちの王オーペロン役で出ている。夏休みに一緒に京都に旅行したとき「是非見に来て下さい」とパンフレットを渡されていた。毎年彼の出る演劇は見に行っているので、もちろん今年も行くつもりだった。

 K氏とは10年ほど前まで、名古屋市の定時制高校で一緒に働いていた。私が転勤して職場が別々になってからも、毎年一泊でどこかに旅行している。その間、彼は持病の腎臓病が悪化し、今は毎週透析を受けているという。さらに、心臓病を煩い、発作で倒れて、入院したこともある。

 病院に見舞いに行くと、「神様が与えて下さった休暇を楽しんでいる」と言って、笑っていた。それから、「死ということを考えると、勇気が出てきた。これからの人生は、自分が本当にやりたいことをするつもりだ」と言っていた。彼が本当にやりたいこと、それは「役者として舞台に立つこと」だった。

 彼は若い頃、アメリカに渡って演劇を勉強し、帰国してからも役者を目差して、東京の「俳優座」のオーディションを受けたこともあった。しかし、その直後、外国での無理な生活が祟り、腎臓病を発病し、俳優としての道を断念しなければならなかった。しかし、50歳を目前にして、彼は再び若い頃の夢に挑戦しようと思ったようだ。

 退院すると、彼は定時制高校の英語教師を続けながら、名古屋にある俳優養成学校に通い、そして数年後には念願の舞台に立った。最初は脇役だったが、次第に台詞も増えて、去年は家出した父親の大役を熱演していた。

 毎年様々な役をこなしている彼だが、なかなか役になりきることはむつかしいようだ。彼の素顔を知っているだけに、「何だか少し無理をしているな」という感想をこれまで持っていたが、今回は違っていた。舞台の彼にいつにない存在感を感じた。妖精の王オーペロン役は、はまり役かも知れないと思った。


橋本裕 |MAILHomePage

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