橋本裕の日記
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オランダは哲学者スピノザを生んだ。スピノザは「国家とは国民を支配するためにあるのではなく、国民に自由を保証するためにあるのだ」と書いている。
「国家の究極の目的は支配することではなく、また人間を恐怖によって束縛し、他者の権利のもとに置くのではなく、むしろ逆に、各人を恐怖から解放し、そして各人ができるだけ安全に生活できるようにすること、言い換えれば、生活と活動のために、各人の自然権を、彼ならびに他人を損なうことなしに、もっともよく保持できるようにすることである」
「私はあえて言う。国家の目的は、人間を理性的存在者から、野獣あるいは自動機械にすることではなく、むしろ反対に人間の精神と身体を全く完全にその機能をはたし、彼自身が自由に彼の理性を行使し、憎しみ、怒り、欺瞞をもって争うことがないように、また相互に敵意を抱くことがないようにすることである。それゆえに、実に国家の目的は国民を自由にすることにある」(「神学政治論20章」スピノザ)
スピノザはデカルト哲学の影響を受けているが、デカルトも母国のフランスを追われて晩年の20数年間をオランダで過ごしている。有名な「方法序説」など、世界を変える著作がこの地でかかれた。
オランダは世界に先駆けて独立戦争を戦い、市民社会を創造した。デカルトやスピノザの哲学思想も自由と平等を尊ぶオランダ人であればこそ、広く受け入れられたのだろう。そして彼らの哲学もオランダの合理的な生活様式から多くを学んで出来上がったのに違いない。
「ユートピア」を書いたイギリス人のトーマス・モアもオランダ大使だったことがある。また、モアの後継者ともいうべき人民主権説の思想家ジョン・ロックは名誉革命までの4年間をオランダに亡命していた。彼の「市民社会論」はオランダ研究のたまものとも言える。
私がもっとも注目する「遊びの哲学」を展開した「ホモ・ルーデンス」のホイジンガーもオランダ人である。彼は文化は世知辛い生存競争からではなく、遊びのなかから生まれると主張している。オランダはルーベンスやフェルメール、ゴッホなどの芸術家も生んでいる。物理学者ではホイヘンスやローレンツなど。
自然科学関係のノーベル賞受賞者の数を見ると、オランダが13人で、日本は6人である。オランダの人口の割合から行くと、日本の16倍以上の数だ。九州とほぼ同じ面積を持つ小さい国なのに、歴史に名をとどめる偉人や天才を輩出している。その上、普通の人々がみんな個性的で輝いているのが、何よりもすばらしい。
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