橋本裕の日記
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2001年09月06日(木) 自転車天国オランダ

 高さが50メートルを超える丘を、オランダでは「山」とよぶ。これは半分冗談らしいが、そのくらい起伏に乏しい平地の国である。したがって、坂が少ないので、自転車が走りやすい。

 オランダにはどんな小さな町にでも、自転車専用道路がある。赤いアスファルトで舗装されている事がおおく、自転車はここを車や歩行者に気兼ねすることなく走る。オランダ以外の国では自転車専用道路が普及していないので、これがあるかないかで、たとえばドイツとオランダの国境がわかるという。

 郊外へ行くとサイクリングコースが整っていて、美しい田園地帯を巡る自転車専用のサイクリングロードを、ところどころに立っている標識に従って走るだけで、地図などなくても目的地に達するという。こうしたインフラが整っているので、自転車は多くの国民に愛されている。自転車の数の方が人口よりも多いらしい。

 自転車道路があるので、歩道は歩行者の専用となる。日本のように歩行者は自転車に怯えながら歩かなくてもすむ。前にも書いたが、オランダではすべて電線は地下に埋められているので、電柱もなく、考え事をしながら歩いていても、自転車や電柱にぶつかるということはない。

 このように自転車族や歩行者にとってオランダは天国だが、自動車族にとっては町中の環境はあまりよくないようだ。先ず、歩道のない道路の多くは進入禁止だし、車道があるばあいでも一方通行である。

 とは言え、都市の外へ出ると、高速道路が完備している。環状線も発達しており、そのネットワークは国土を網の目のように覆い、ヨーロッパの主要都市へとつながっている。ベルギーやフランスなどとの国境は車で走っているとわかるという。道路の舗装が悪くなり、でこぼこが感じられたら、それはオランダから外に出た証拠だという。

 田園地帯を走る高速道路は、ともすると環境破壊の元凶になるが、オランダの場合、自然保護に細心の注意がはらわれている。オランダの高速道路にはグリーンブリッジと言って、ウサギなどの動物用の橋や、蛙などの生物のトンネルが作られていて、生態系への影響が考慮されている。

 ヨーロッパ有数のスキポール空港とロッテルダム港をもつオランダは、貨物の輸送量も多く、ヨーロッパの輸送量の30パーセントがオランダとの国境を越えている。こうした産業の動脈として、高速道路ばかりではなく、有名な運河や、鉄道もあり、こうした総合力がオランダの経済的競争力の源泉になっている。

 しかし、オランダは決して産業優先ではない。産業と自然や人間との調和を考え、人々にゆたかな生活環境を提供することを優先させている。そうした考え方が、自転車専用道路を世界に先駆けて完備させ、「自転車天国」オランダを実現させたのだろう。


橋本裕 |MAILHomePage

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