橋本裕の日記
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この4日間、部活のテニスの試合だった。三日間は炎天下での試合が続き、昨日は雨の中での試合で、何度も中断があり、試合時間が大幅に遅れるなどして、選手も顧問も大変だった。
この4日間、昼飯は妻の握ってくれた3個の「おにぎり」だった。何を隠そう、私の好物は梅干し入りの「おにぎり」である。とくに妻が握ってくれた物は格別で、これを食べると元気が出る。
ところで、「おにぎり」のことを「おむすび」という。この「おむすび」というのは何だろうと、「おむすび」を食べながら疑問に思い、さっそく調べてみることにした。そして、色々なことがわかった。
まず「むすび」だが、これは神代から伝わる由緒だ正しい言葉で、「コケむす」「ムスこ」「ムスめ」などにその用例があるように、「うまれてくる.うみだす」という意味の「むす」と、「神様の霊力」という意味の「ひ」が合わさったものらしい。つまり、「むすび」とは、「生まれたり産み出したりする神の霊力」ということだ。
ところで、「おむすび」は御飯(米)で出来ているが、米の起源は「古事記」によると、須佐之男命に殺された大気津比売神(オオケツヒメ)の二つの目から稲種がうまれ、これを神産巣日神(カミムスビノカミ)が種としたことが始まりである。
日本の神話で最初に刻まれた神の名は、天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)で、次の高御産巣日神(タカミムスビノカミ)と神産巣日神(カミムスビノカミ)加えた三神が日本神話の根元神、造化三神と言われている。
ここで注目すべきは高御産巣日神・神産巣日神に共通する、産巣日「ムスビ」という読み方だろう。日本人は森羅万象が生成して行く様を、こうした神々の霊力と考えた。「ムスビ」とは万物を生成し、創造する神秘的な霊力ということになる。
カミムスビのカミはカガムミ(屈む身)だとする説がある。そうすると高・中・低の三者がそろう。ナカムスビは天と地を結ぶ神とみなされ、カミムスビノカミは地にあって、万物の生成を司る神ということになる。カミムスビが米の種をとったという古事記の記述が生きてくる。
それはともかく、こうして「おむすび」の大半の謎は解けた。「おむすび」を食べると力が湧いてくるのも頷ける。しかし「おむすびの力」の秘密はこれだけではない。その独特の三角形の形状にも秘密がひそんでいる。
三角状の形は、実は古代日本の山岳信仰に関係があり、それ自体が神の霊力を象徴している。古代日本人は三輪山や耳成山に代表されるきれいな三角形の山を神奈備山と呼び、そうした美しい形の中に神が宿ると考えた。つまり「おむすび」の三角形には、古代日本人の信仰が息づいている。
これからは「おにぎり」とは呼ばずに「おむすび」と呼ぼう。この名前の中には、日本人の千古の伝統が生きているのだから。うちのカミさんの握ってくれた「おむすび」を噛みしめながら、そんなことを思った。
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