橋本裕の日記
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2001年07月20日(金) 忍耐強い日本人を育てる学校

 昨日終業式がおわって、ようやく授業の苦しみから解放された。この時期になると教室は毎日蒸し風呂のようで、授業をする方も、される方も拷問をうけているようだ。そうした拷問から解放されたことを、生徒共々祝いたい。

 7月になると、姉妹提携しているカルフォルニア州の高校から短期留学生がやってきて、一緒に授業を受けるが、彼らは日本のこの暑さに驚く。今年はとうとう体調が悪くなって、一人の生徒がアメリカに帰っていった。ロサンジェルスの7月の平均気温は26,7度らしいから、連日35度を越えた暑さに、さぞかし参ったことだろう。アメリカの高校の年間授業日数は180日で、日本より40日以上短く、6月のうちに夏休みにはいるのだという。

 先日の新聞を読むと、日本人は世界でもっとも「苦痛を感じることの少ない」という統計結果が出ている。とくにアメリカとくらべると、苦痛に対する敏感度はかなり低いようだ。日本人が生物学的に鈍感なのではなく、忍耐強いということだろう。そうした忍耐強さを養うのに日本の禁欲的な学校文化が貢献しているのではないかかと思う。

 作家の渡辺淳一さんは医学部出身だが、「高校生くらいの年代の少年を6時間も机に縛り付けておくのは、生理的な拷問だ」と書いている。人間は自由に手足をのばし、歩き回るのが自然である。肉体的に成熟した高校生の男子は、とくにこうした活動欲が旺盛である。それを長時間自由を奪い、強制的に机に縛り付けておくことは、いちじるしく自然の法則に反している。

 私たち教師はともすると、管理的な立場から、おとなしくじっと座っていられない生徒を白眼視する。そして学習意欲のないことを嘆き、忍耐力のないことを非難しがちだ。しかし、考えてみれば、それがいかに自然の状態を逸脱した強制行為であるか、学校というシステムの陥りがちな非人道的な異常さを、もう少し自覚すべきかも知れない。


橋本裕 |MAILHomePage

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