罅割れた翡翠の映す影
目次|過去は過去|過去なのに未来
ゆっくりと自分が壊れていくのが、判る。
例えばだ。 自分の心臓がある日突然に止まっちゃったとしよう。 すると脳細胞って奴は血液の供給が無いとあっさりポンコツ化する。 当然、意識どころかその他の生命維持機能もポンコツ化する。 放っておけば身体を構成する有機物が酸化されていく。 早い話が肉は腐って骨だけになる。嗚呼、ガリガリ。 その内残った骨もバクテリアが分解していくだろう。食物連鎖の神秘。
そこで、この行程の一部始終、意識が残っていたらどんな気分だろうか。
自分の心臓の鼓動の止まるのにまず気付くだろう。 感覚の殆どが薄くなるのを実感し、身体が動かなくなるのを感じる(?)。 死後硬直で身体が石のようになる事に戦き、 腐れて逝く過程で熱を帯びた身体に驚愕するかもしれない。 それとも動く事も許されぬまま火葬場に連れて行かれ、 高温焼却で骨も残さず灰に帰して逝く身体を前に(?)、 何も出来ない自分(の意識)を呪うだろうか。
狂った中に、ほんの少しの正気のようなモノがあったら、 朽ちていく身体の中の意識のように何かを思うのだろうか。 見たくなど無い。 僕が僕でなくなっている所など。 そして一粒の正気は狂気に塗り潰されるのか。
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