J (3.秘密の恋愛)
12. 夏の海 (3)
7月の半ば、つい一ヶ月も満たない前のあの夜に、 レイの母親は亡くなったのでした。(参照こちら) その夜、私はレイを乗せ高速を飛ばして、 このインターで降りた。(参照こちら)
あれからたった一ヶ月も満たない間に、 なんといろいろなことがあったことだろう。 レイの母の死、お葬式、これからのこと、。 そして、一千年の夢一夜。。
私は自分では意識していなかったのですが、 頭の中ではその間の出来事を思い巡らしながら、 運転をしていたのです。
「どこの海?・・アハ、ユキが砂で遊べるように、せっかくだから、 砂浜のきれいな海がいいかな、って思ってね、。」と私。 「ふうん、初めてゆくとこ?」と友美さん。 「○×海岸、、行ったことなかったっけ?」 「○×海岸!ああ、あそこね、知ってるわ。うん、きれいな砂浜よね。 ユキ、○×海岸だってよ〜、楽しみね♪」
友美さんはそう言ってユキに語り掛ける。 ユキはよく分からないであろうにもかかわらず、 「まるばちゅかいがん〜、いぇーい!」と、 うれしそうに奇声をあげる。
私は、ふふっ、と笑みを浮かべ、 バックミラー越しにふたりの顔を見て、 「いいだろ〜?」と語りかける。
友美さんはうんうんと笑みながら頷いて。。 ふと気がついたように私に聞く。
「そう言えば・・レイちゃんの実家の方よね、○×海岸って、、?」
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