J (3.秘密の恋愛)
12. 夏の海 (2)
「純一さん、おにぎりの具、シャケとたらこでいいかしら。」 「暑いから生のたらこは心配だな、焼いたほうがいいよ。」 「そうね、あと、おかずは何がいいい?」 「やっぱさ、海、って言ったらラーメンだからさ、 あとでラーメンも食べたいから、、簡単なものでいいよ。」
友美さんは、そうね、と言っていたのに、 当日の朝は4時前から起きてたっぷりのお弁当を作るのでした。 娘のユキと3人、団欒のひと時を楽しみにして。
2歳になるユキもまだ見ぬ海に小さな胸をときめかせ、 興奮してかやたら早起きをし、 言葉もまだうまく話さないのに盛んにはしゃぎました。
そう、私には家族がある。 唯一無二の掛け替えのない大切な家族がある。 そしてその家族にとって私は、 なくてはならない存在なのでした。
荷物を積み込んで。 ハンドルを握り高速に乗る私。 少し早めに出たせいか、思ったより空いている。
後部座席に乗る友美さんはユキを抱き、 海の歌など歌ってやって、 車中は行楽気分で楽しげな雰囲気に溢れてる。
車は高速をまっすぐに東に進み、 あるところで車線を変え高速を降りました。
あれ?という表情で友美さんが聞く。 「どこの海に行くの?」
私はふと急に、ハンドルを切ったのです。
この道はあの夜通った道。 でした。。(参照こちら)
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