J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2006年02月05日(日)    これで一夜の夢は終わったのです。

J (3.秘密の恋愛)

11. 一夜の夢 (43)


私はもう一度、。
もう一度だけ、レイと交わりたかったよ・・。
レイとひとつに結ばれたかったよ・・。

これでもう、。
終わりなんだもの・・。
もう一度、夢を見たかったよ・・。

だけど、!
だけど、
それは、できなかったよ・・。


(・・いや、なんでもない、、シャワー浴びてきて。。)
(・・うん。。)

レイは素裸のまま起き上がり、
私に眩しい裸体を見せて恥ずかしそうにちょこっと笑み、
脱ぎ捨てられていた自分の下着を拾い身を隠しました。

そして、私の下着も拾い、
ベットの上に置いてくれてから、
バスルームへと消えました。

私はその一部始終をだまってみていました。
もう二度と見ることはないであろう、
レイの肢体をこの目に焼きつけようとして。

これで一夜の夢は終わったのです。
これから私とレイは来た道を別々に戻って離れてゆく。
遠く一千年の彼方にまで。
私にはそう感じられていました。。

・・

数時間後。
私は喫茶店で時間を潰してから会社に出社しました。
レイは一度自分のアパートに戻り着替えて、
先に出社していました。

「おはようございます。工藤さん。」
「や、おはよう、レイちゃん、、。」

レイはにこやかにいつもながらのレイでした。
私はと言えば、ちょっぴり、照れたようになりましたが、
普段と変らぬレイに寂しくも思いながら、
努めて普通に振舞いました。

何一つ変らない、レイと私なのです。
これからも、これまでも、何一つ変らない上司と部下。

夢は一夜にして終わったのだ。
もう私とレイが愛を語り合うことはない。
まして交わることなどないのだ。

そしてレイは会社を辞める。

それだけのことなのだ。。


(11. 一夜の夢、の項 終わり)


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