J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2006年01月20日(金)    涙の海は夕暮れて暗やみ終焉しやがて夜を迎える。

J (3.秘密の恋愛)

11. 一夜の夢 (31)


・・

私は再びレイの瞳の海に吸い込まれるように、自我を失い、
気がつくとレイの瞳の海に漂っていました。

そこは岸辺でした。
立ち上がると膝小僧ぐらいの深さで、
小波がぴちゃぴちゃと足を洗いました。
涙が溶けた海でした。

見渡すとオレンジ色の空が物悲しく海全体を包んでいました。
夕闇がもうすぐ訪れるのだな・・
と私はわかったようなことを呟やいて、
隣にいるレイに寂しげに微笑みかけました。

レイも寂しげに微笑みました。
そしてこくんと頷いて、
水平線の向こう、海と空の境のところを見やりました。
いつかの時と同じように。(参照こちら

だがそこにはあの日のような青空はなかった。
涙の海は夕暮れて暗やみ終焉しやがて夜を迎える。
私たちは帰るべき時を迎えたことを知る。

レイちゃん。。

・・くどうさん。。

私たちは暗やむ海に互いを確認するように、
名を呼び合いました。

そして消えゆく互いの姿を見失わないように、
かたく抱擁をして、。
末期の別れを惜しむかのように口づけました。

辺りは暗やみました・・。

・・

私の涙は汐が引くようにひと時におさまり、
私の心は落ち着いて、、
ぽつりぽつりとレイに語りかける。


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この物語はフィクションです。

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