J (3.秘密の恋愛)
11. 一夜の夢 (30)
途端に私の目から涙が溢れ出ました。 止まることなく涙がぼろぼろ落ちました。
女の前で泣くなんて、 私の自尊心からすると許されない筈なのに、 涙が次から次へと溢れ出ました。
これで一夜の夢も終わる。 私はもう夢を見ることはないのだ。 この先一千年経とうとも、 もう二度と私はこの夜の夢を見ることはない。
これが運命、なんだ。。
そう思うと悲しくて悲しくて。 もうどうしようもなくなってしまって。 私には溢れ出る涙を止められませんでした。
全裸の女に身体を重ねながら、大の男が泣いている。 歯を食いしばってなんとか堪えようとしながらも、だめだ。 恥ずかしくも私は嗚咽を漏らして泣いている。
身体中のすべての部分の肌と肌が触れているというのに。 依然レイの“彼女自身”は熱く熟れ濡れているというのに。 レイの蜜園の入り口で猛々しくその時を待っていた、 私の“私自身”は夢の終わりを知るのだ。
そして。 “私自身”は萎えてゆく。。。
そんな私にレイは私の背にそっと手を回し、 泣きじゃくる赤子を愛しむ母のような優しさをもって、 私を抱きしめました。
その優しさがさらに私を切なく悲しめて、 私は泣きながらレイの乳首を求めて、 赤子のように吸いました。
レイもまた泣いていました。 上を向き先ほどから堪え溜めていた涙が、 つつと頬を伝って私の涙と交わりました。
ひとつ涙に私たちは流れ行きました。 私はレイの涙に口づけし、 再びレイの瞳の奥をみました。
そこに私は見たのです。 私たちの運命の辿り着いた場所。
、、涙の海。
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