J (3.秘密の恋愛)
11. 一夜の夢 (11)
ああ、だが。。 今や俺の“自身”は萎えている。 しょんぼりと、可哀想なほどに、鎮められている、。
ダメだな。 こりゃ。
私は部屋に備え付けの冷蔵庫を開けビールを取り出し、 どさっとソファーに腰をおろす。 コップにビールを注ぎ、一息にそれを飲み干す。
ん? レイはどうしたんだろ?
私の意識は自分の世界から立ち戻り、 いまだトイレから戻らないレイに気がつく。
トイレにしてはちょっと長いな。 気分でも悪くなったのかな。 だとすると、、どうしたらいい?
それとも、、。 レイも俺同様にいろいろと考えているのかも? あれこれ考えて出てこれないのかな。 だとすると、、どうすればいい?
ああ、もしくは! 俺の豹変を恐れているとか。 そうだな、俺はレイを襲うこともできる。 だとすると、、どうなる?
私はビールをまた注いで、今度半分ほど飲み、 深々とソファーに体を沈め、沈思黙考する。
ま、俺は俺だ。 俺は俺らしく最後まで、俺でありつづければいい。 俺は俺の望むままにあればいい。
レイの気分がすぐれないのであれば介抱すればいい。 レイがあれこれと考えているなら話を聞けばいい。 レイを抱きたければ抱いたらいい。 それでレイに拒まれたら、それでいい。
すべてはあるがまま、為るがまま、だ。
私が自分の考えを纏めあげた頃に、 レイはかちゃと扉を開けて、トイレから出てきました。 何でか照れたように恥らって、でも、にこりとして、 私の様子を伺うようにして、レイは私を見ました。
それはいつもと変わらぬレイでした。
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