J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2005年12月03日(土)    ひとつ炎に燃える魂と魂。それが、恋愛。

J (3.秘密の恋愛)

11. 一夜の夢 (4)


客観的に見れば私のこの時の行動は、
上司が辞めてゆく部下に酒を飲ませ誑かし、
ホテルに連れ込んだだけのことと映るのでしょう。
ましてその上司は妻子ある身。
倫理に照らして許されざる行動と、
人に言われることでしょう。

ですが。
恋愛の情愛においては、
理性も倫理も道徳も建前も立場もない。
すべてを超越して人は魂を燃焼させるのです。

一個の男として。
一個の女として。
ひとつ炎に燃える魂と魂。
それが、恋愛。

真に恋愛の経験がある者にしか分からぬ境地、
でしょうけれども。。

それが、恋愛、なのです。

・・

フロントで部屋を選び、私とレイはエレベーターを待つ。
いつぞやのことを思い出す私。
つい2ヶ月前の大阪の夜。(参照こちら

あの時の私は。
「なんだか、恋人同士みないだな、」と失言して、途端、
「レイちゃん、“彼”とは、うまくいってるの?」と聞いたんだ。

そして私たちは。
私には妻と子どもがいて。レイには“彼”がいて。
私とレイはただの上司と部下の関係。
そのことをはっきりと認識しあったのだ。

しかし今の私たちは。
ただひとつ恋愛の情によりて今ここにある。

一個の男として。
一個の女として。

ひとつ炎に燃えている。


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