J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2005年12月02日(金)    私は連なるホテルのネオンを見上げつつ、

J (3.秘密の恋愛)

11. 一夜の夢 (3)


同時にまた私は感じました。

レイの“自身”もまた潤んでいることを。。

私とレイは、。
確かめ合うことなくても、感じ合い、
男と女の交わりの合図が反応しあっていたのです。

身も心も溶けてとろとろと炎、
魂と魂がひとつになるその交わりの準備が、
既に互いの心と体において整ってきていたのでした。


私は連なるホテルのネオンを見上げつつ、
(どのホテルにしようか。。)
と、ほんのひと時立ち止まり思案する。
レイは私の胸に顔を隠すようにして、伏目がちに下を見ている。

そうだね。
こんなところを誰かに見られたら“こと”だ。

場末の所謂連れ込みホテルの風情にあっては、
どこも同じことだろう。

私は横文字で書かれたシャレた趣きのホテルを見定め、
そこへわき目をせず進み、
すっとエントランスをくぐり、
私とレイはそのホテルへ入りました。

あまりにもそれは自然の流れのように、
超えることのなかった一線を、
越えようとしているふたりでした。

レイはホテルの入る時一瞬、
若干躊躇った様子もありましたけれど。


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