J (3.秘密の恋愛)
11. 一夜の夢 (3)
同時にまた私は感じました。
レイの“自身”もまた潤んでいることを。。
私とレイは、。 確かめ合うことなくても、感じ合い、 男と女の交わりの合図が反応しあっていたのです。
身も心も溶けてとろとろと炎、 魂と魂がひとつになるその交わりの準備が、 既に互いの心と体において整ってきていたのでした。
私は連なるホテルのネオンを見上げつつ、 (どのホテルにしようか。。) と、ほんのひと時立ち止まり思案する。 レイは私の胸に顔を隠すようにして、伏目がちに下を見ている。
そうだね。 こんなところを誰かに見られたら“こと”だ。
場末の所謂連れ込みホテルの風情にあっては、 どこも同じことだろう。
私は横文字で書かれたシャレた趣きのホテルを見定め、 そこへわき目をせず進み、 すっとエントランスをくぐり、 私とレイはそのホテルへ入りました。
あまりにもそれは自然の流れのように、 超えることのなかった一線を、 越えようとしているふたりでした。
レイはホテルの入る時一瞬、 若干躊躇った様子もありましたけれど。
|