J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2005年05月26日(木)    最後の最後の別れ際という時に。

J (3.秘密の恋愛)

10. 夜の公園で (14)


、、と、その瞬間。

その時を待っていたかのように、
バタと照明が消えました。

夜も更けて10時を過ぎていたのでした。
公園に付属する野球場やテニスコートの夜間照明が、
消されて当然の時刻ではありました。(参照こちら

だがあまりにもタイミングがよく、
あまりにも出来すぎた状況の演出。

暗やむ公園の一角で、
見つめあい抱きしめて。

最後の最後の別れ際という時に。

愛し合うふたりは何をするのでしょう。


私はもう一人の私に支配され、
今ここにある私以外の何者でもありませんでした。
今ここにある私、すなわち、
ひとりの男として愛する女を抱きしめている私。

私、僕、俺。

すべての一人称を超越して、
ただここにあるだけの私。

レイもまた、
そうであったかと思います。
一人の女として愛する男に抱きしめられて、
ただそこにあるだけのレイであった、
そう思うのです。


この時の私の瞳の奥には、
きっと熱い情炎が燃え滾っていたことでしょう。

レイはそれに気がついた、筈でした。

なぜなら。
レイはそっと瞳を閉じた、からです。


私を受け入れるために。



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