J (3.秘密の恋愛)
10. 夜の公園で (12)
もうこれっきり、これっきりと思いながら、 私は何度もレイを引き寄せようとする。 口ではきれい事を並べていながら、 心の中では捨て切れない想いで揺れている。
ああ、、。
俺は本当は自分のことしか考えていないんだな。 君の事を考えているとか口先ばかりで言って、 結局はこうなんだな。 自分のエゴを押し付けているだけなんだな。
だってそうだろう? 俺は今夜何度「帰ろう」と口にした? 俺は今夜何度これで終わりって考えた?
言うたびに、考えるたびに、 もう少しだけ、もうちょっとだけと、 この公園までレイを連れてきたのじゃないか。
そして我を忘れてレイを抱きしめて、、。 挙句、また、「じゃ、帰ろう、」?
と、言った途端に、、 また、最後の最後に抱擁したい、だ!
なんともなんとも、未練がましい、見下げた男だな、 俺って奴はよ!
だけど、、。
私の中のもう一人の私は、 そんな私の心の声に耳を貸さなかったのです。
もう一度だけ、もう一度だけ、 レイを抱きしめたい、 そう欲してやまないのでした。
抱きしめればそれで済む、 そんなわけは無いのに。。
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