J (3.秘密の恋愛)
10. 夜の公園で (11)
そして、、、。
そして私はもうその時が来たのだと、判断しました。 私とレイがそれぞれ自分に帰る時。 それが別れの最後の瞬間。
これでおしまい。 始まることなく終わる、 君と僕との物語。
・・
「、、じゃ、。」 と言って私は気持ちを振り切るように立ち上がる。 立ち上がりながら固く握りあっていた手を離す。 「帰ろう。」 私は努めてレイの上司である工藤純一に戻って言う。
レイは一瞬そうした私を恨めしそうに見つめ、 だが、すぐにいつものレイの口調で、 「はい。」と答えました。
レイはベンチの周りに散らかした、 食べ物の残りなどを集めてゴミ箱に捨てて。 私は飲み残したアルコールをぐいっと飲み干して。
再び見詰め合う私とレイ。
これでほんとにほんとに終わりなんだ。 言葉なく目と目で確認しあうふたりでした。
この時、私にはもう一人の私が、 私を支配し始めたのです。
私はもう一度、最後の最後にレイを、 ぎゅっと抱擁したくなってしまったのです、。
未練がましい私、でした。。
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