J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2005年05月23日(月)    未練がましい私、

J (3.秘密の恋愛)

10. 夜の公園で (11)


そして、、、。

そして私はもうその時が来たのだと、判断しました。
私とレイがそれぞれ自分に帰る時。
それが別れの最後の瞬間。

これでおしまい。
始まることなく終わる、
君と僕との物語。

・・

「、、じゃ、。」
と言って私は気持ちを振り切るように立ち上がる。
立ち上がりながら固く握りあっていた手を離す。
 
「帰ろう。」
私は努めてレイの上司である工藤純一に戻って言う。

レイは一瞬そうした私を恨めしそうに見つめ、
だが、すぐにいつものレイの口調で、
「はい。」と答えました。


レイはベンチの周りに散らかした、
食べ物の残りなどを集めてゴミ箱に捨てて。
私は飲み残したアルコールをぐいっと飲み干して。

再び見詰め合う私とレイ。

これでほんとにほんとに終わりなんだ。
言葉なく目と目で確認しあうふたりでした。


この時、私にはもう一人の私が、
私を支配し始めたのです。

私はもう一度、最後の最後にレイを、
ぎゅっと抱擁したくなってしまったのです、。


未練がましい私、でした。。



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