J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2005年02月07日(月)    俺さ、実はね、君の彼氏にジェラシーを感じてる。

J (3.秘密の恋愛)

10. 夜の公園で (5)


「え?」

レイは唐突にそう聞かれて目をぱちくりさせました。
いきなりであったので、どう答えていいのか考えが定まらない様子。
私はそんなレイに構わず、「どんなひと?」と聞く。
レイは私の問いに引き出されるように答える。

「どんなひと?、、うーん、普通、。」
「普通、ね。普通、普通、っと。普通、普通、普通、、、。
 レイちゃん、それじゃ全然わかんないよ。」
私は笑みを作ってそう言って。。
なかなか核心のことを聞き出せない。


ああ、こんなことも友美さんの時と一緒だな。(参照こちら
聞きたい、けど、聞けない。
私は友美さんを呼び捨てにしたあの男について、
最後まで聞くことができなかった。(参照こちら

だがどうなんだろう。
友美さんの時は過去へのジェラシーだった筈。
今私が感じるであろうジェラシーは、今へのジェラシー。
似ていて非なるものではないのか。

いや、待てよ。
ジェラシー、だと?!
これって、、やっぱりジェラシーなのか。
レイの彼氏のことを聞いて胸が痛むってことは、。
やっぱり、、ジェラシー、なのだな。


「あのね、レイちゃん。俺さ、実はね、君の彼氏にジェラシーを感じてる。
 こんなこと、言うべきかどうか、わからないんだけどね。
 とか、そう言いながら、もう言っちゃったけど、だから、言うけどさ。
 やきもち妬いたって仕方ないのに、妬けてしまうのは何故か。
 なんて考えることはしないけれど、でも、それが事実なんだよ。」

いきなり、私は自分の世界から言葉を発してしまった。
その言葉がどのようにレイの心に届くかなど、一切考えもしないで、
自分の気持ちのままストレートに言ってしまったのでした。

「だから、知っておきたいんだ。君の彼氏のこと。
 聞くと胸が痛くなるのわかっているんだけど、ね。
 でも、知らないまま、君と別れるのはとても辛くって、。
 だから。(話してくれないか?)」

「別れる?、、そんな。だって、工藤さんと私は、、。」
(そんな関係じゃないじゃないですか、、。)
レイは下を向き小さな声でそう言いました。
そして。

(私だって。)

と言いました。


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