J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2004年11月02日(火)    レイちゃん、ちょっと気にかかることがあるんだけど。

J (3.秘密の恋愛)

8. 誤解 (16)


私はレイの姉夫婦にも簡単な挨拶をして。
なんとなく私に注がれる視線に対しても、
なんとなく頭を下げて。
レイとともに直会の会場を出ました。

玄関までの少しの間、廊下が続く。
その廊下を歩きながらレイと私。

思えばあの病院のあの廊下以来の二人きりでした。(参照こちら


「工藤さん、タクシーは5分ぐらいで来ますって。」とレイ。
「そっか、ありがとう。」と私。

「どうも、ほんとにありがとうございました。
 鏑木さんたちにもよろしくお伝えください。」
「ああ、了解、。」


私とレイは店の玄関の端に立って、タクシーが来るのを待つ。
私はタバコに火を点けて。

「レイちゃん、ちょっと気にかかることがあるんだけど。」
レイは、「これからのこと?」とすぐ聞き返しました。

「いや、それは、今度また聞くとして、、。
 あのさ、さっきのあそこってどんな人が集まってたの?」
「あそこって、直会の席かしら、。
 ほとんど親戚関係だと思いますけど、、。」

「あのさ、僕のように親族以外の人間も何人か、いたの?」
「よくわかんない、。何人かはいたんじゃないのかなぁ、。」

「ふーん、、、。」と私は思い巡らして。
「何か、、?」レイは訝しげに。


再び私。
「ほら、あのさ、さっき、君のおじさんが勘違いしてたじゃんか。
 もしかして、あそこにいた人みんな、誤解してないかな、。」
「どんなふうに、ですか?」とレイ。

「どんなふうに、って、つまり僕と君が、、。つまり、。
 ごにょごにょごにょ、、、ってことのようにさ、。
 でね、あのさ、君のお父さんは僕が結婚していること、って、
 もちろん知っているんだろうね。」
「たぶん、、。でもそういう話、したことないから、どうかわかんない。」


わかんないって?
それじゃぁ、もしかしたら、誤解されちゃうかもじゃんか!

そりゃ、まずいっしょ、レイちゃん、!?


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