J (3.秘密の恋愛)
8. 誤解 (16)
私はレイの姉夫婦にも簡単な挨拶をして。 なんとなく私に注がれる視線に対しても、 なんとなく頭を下げて。 レイとともに直会の会場を出ました。
玄関までの少しの間、廊下が続く。 その廊下を歩きながらレイと私。
思えばあの病院のあの廊下以来の二人きりでした。(参照こちら)
「工藤さん、タクシーは5分ぐらいで来ますって。」とレイ。 「そっか、ありがとう。」と私。
「どうも、ほんとにありがとうございました。 鏑木さんたちにもよろしくお伝えください。」 「ああ、了解、。」
私とレイは店の玄関の端に立って、タクシーが来るのを待つ。 私はタバコに火を点けて。
「レイちゃん、ちょっと気にかかることがあるんだけど。」 レイは、「これからのこと?」とすぐ聞き返しました。
「いや、それは、今度また聞くとして、、。 あのさ、さっきのあそこってどんな人が集まってたの?」 「あそこって、直会の席かしら、。 ほとんど親戚関係だと思いますけど、、。」
「あのさ、僕のように親族以外の人間も何人か、いたの?」 「よくわかんない、。何人かはいたんじゃないのかなぁ、。」
「ふーん、、、。」と私は思い巡らして。 「何か、、?」レイは訝しげに。
再び私。 「ほら、あのさ、さっき、君のおじさんが勘違いしてたじゃんか。 もしかして、あそこにいた人みんな、誤解してないかな、。」 「どんなふうに、ですか?」とレイ。
「どんなふうに、って、つまり僕と君が、、。つまり、。 ごにょごにょごにょ、、、ってことのようにさ、。 でね、あのさ、君のお父さんは僕が結婚していること、って、 もちろん知っているんだろうね。」 「たぶん、、。でもそういう話、したことないから、どうかわかんない。」
わかんないって? それじゃぁ、もしかしたら、誤解されちゃうかもじゃんか!
そりゃ、まずいっしょ、レイちゃん、!?
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