J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2004年11月01日(月)    工藤さん、レイのこと、よろしくお願いしますね。

J (3.秘密の恋愛)

8. 誤解 (15)


「お父さん、実は会社のほうで急の用ができまして、、。
 ご無礼なんですが、お先に失礼させていただきます。」

私は恐縮した面持ちでレイの父にそう告げました。

「急の用、、。」
レイの父は何事かという顔で私を見つめて、
「それは大変ですね、どうぞ、早くにお立ちください。」
と言い、続けて、
「誰かに送らせましょうか?」と聞いてくれました。

「いえいえ、私事ですし、結構です、それには及びません、。
 今レイちゃんにタクシーを手配してもらっていますから。」
「そうですか。」

「いろいろとお世話になりました。」私は畏まって礼を言う。
「いや、こちらこそ、この度は大変お世話になりました。」
レイの父は向き直って正座して礼を言う。
そして付け加えて、
「工藤さん、レイのこと、よろしくお願いしますね。」
と頭を下げる。

「はい、お任せください、。では。お父さん、失礼します。」

私もそう言いながら頭を下げてから立ち上がり、
周囲の人に軽く会釈をしその場を離れました。

レイは出入り口のところで待っている。
工藤さん、こっちよ、という顔で。

私はなんとなく視線を感じながら、
レイのところへ向かう。

なんとなく好奇の視線。

・・

誤解、、。
されるよな、これじゃ。

親族が集まったテーブルでレイの隣にずっと座っていた男。
レイの父から、レイのことを任す、と言われる男。

いかに会社の上司とは言え、それを知らぬ人は、、。
さっきのレイのおじさんのように、やっぱり、誤解するよな。(参照こちら

まてよ、。

もしかして!
レイの父も誤解しているんじゃ、、、!


、、、まさかね、。


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