J (3.秘密の恋愛)
8. 誤解 (13)
「えっと、、。お父さんは、おビールでらっしゃいますか?」
ふっと私は場の雰囲気を変えようと思い、 レイの父に酌をしようとして相好を崩しそう聞きました。
レイの父もまた笑顔を浮かべ、 「私は下戸なのですよ、工藤さん、お強いのでしょう、どうぞ、、」 と、逆に私に酌をしようとする。
下戸と聞き私が勧めるわけにもいかず、 「恐縮です。」と言いながら、 レイの父に差し出されたビールをコップで受け注いでもらい、 ぐっとひと飲みして、 「ありがとうございます、」と礼を言う。
そんな私を見てレイの父はにこっと微笑み、 「では、ごゆっくり、」 とその場を離れました。
「ありがとうございます。」ともう一度頭を下げる私。
・・
ちらとレイを横目で見る。 レイはまっすぐ私を見てる。
いろいろ聞きたいことだらけだよ。 だけど、今は聞かないがいいね。 あとでゆっくり聞こうかね。
私は無言でレイに語りかける。
レイは分かったか分からずか、にこ、と笑う。
ふぅ、と私はため息。
|