J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2004年10月28日(木)    少しばかり相談すること、なのに、私には関係のないこと。

J (3.秘密の恋愛)

8. 誤解 (12)


「お父さん。やめて。」

レイは、レイの父が言わんとすることを察知したようで、
その話ならばやめて、というような口調でレイの父に言いました。
そして私に向かって、
「ごめんなさい、工藤さん、工藤さんには関係ないことなんです。」
と言い、また自分の父に向かって、
「もう、お父さんったらぁ、、」と言う。

何なのだ、いったい?

少しばかり相談すること、
なのに、私には関係のないこと。

レイとレイの父は、分かって話しているのだろうけれども、
私には何のことやらさっぱり分からない。


「あ、いや。そうなんですか?」
と私はレイとレイの父をかわるがわる見比べてから、
レイの父に向かって笑顔で言う。
「あはは、レイちゃんのお父さん、私にできることなら何でもします。
 できることは限られていますが、、。できるだけのことはします。」

「そうですか、。なにぶん、こうしたことになっていますので、。実は、、。」
とレイの父はレイを見やりながら話し出す。

しかし、レイはその話を打ち消すように、
「お父さん。」と真顔で強く言ってから、
「ごめんなさい、工藤さん、また今度、私から相談させてもらいます、」
と私に言い、レイの父の話の腰を折ってしまった。

レイの父はちょっと憮然のした表情をしましたが、
レイの真剣な眼差しに圧倒させられたか、それ以上話はしませんでした。

私も、レイの表情に真剣さを認め、
この場は立ち入った話を聞かぬほうがよいと感じ、
「うん、そうだね、いつでもいいからね。」と言ってから、
レイの父に向かって、
「いずれにせよ、できるだけのことはします、ご安心ください、。」と伝えました。

レイの父は何か考えるように頷きながら、
「なにぶん、こうしたことですので、、よろしくおねがいします、。」
と繰り返すように言いました。

「はい。」と私は神妙に答えて。


一瞬、沈黙。


  < Pre  Index  New >    


INDEX+ +BBS+ +HOME+ 
この物語はフィクションです。

My追加

+他の作品へのリンク+・『方法的懐疑』(雑文) ・『青空へ続く道』(創作詩的文章)