J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2004年10月17日(日)    レイも少し酔ったように見えました。

J (3.秘密の恋愛)

8. 誤解 (5)


として、私も同じように、
黙ってうつむいているわけにもいかないと、
当り障りのない話題を考えてはみるものの、
何を話してもこの場に無縁の私の話、
誰に話そうにも相手がいない。
なので、やはり私は、黙って杯を重ねてる。

目の前に座っている島田(参照こちら)が気を利かせ、
どうぞどうぞとビールを注いでくれ、
レイも私に気を使い、「工藤さんどうぞ」と注ぎ足して、
さらにレイのお姉さんもまた同様に、
気がつく前に注ぎ足すものだから、
ついつい私は、案の定、少しずつ酔ってしまう。

物静かにして飲んだ酒の酔い、
まして昼間のアルコールはすぐ回る。
いつもの悪い癖が出なければいいのだが、
と自分を心配しつつも、
既に自分が自分であって自分でないような、
そんな私にもなりつつありました。


やがて。

周囲にもアルコールが進み酔った者も出てきて、
だんだんと座も緩やかになり、
やっと私も隣りに座るレイに対し、
私的に話し掛けることができるようになる。


レイも少し酔ったように見えました。

周りの人と同様に。


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