J (3.秘密の恋愛)
7. 葬式 (8)
とは言え。 田んぼしかない田舎道です。 時間を潰そうにも何することもできない。 海のほうに足を伸ばそうにもそれ程の余裕はない。 結局私はすぐに着いてしまったのでした。
レイの実家は農家の造りでした。 門を入ると正面に母屋、右手に納屋がありました。 私は記帳の列に並びレイの姿を探す。 レイは祭壇の前に既に座っていました。
記帳を終えた参列者は三々五々に立ち話をしていました。 私は知り合いもいないので所在無く、 記帳をした後は煙草を吸って葬儀が始まるのを待ちました。
(これならば。誰が誰やら分からない。)
たとえレイの彼氏がここにいても、私には知りようがない。 先ほどの危懼は杞憂に終わったということか。
しかし。 そうとなると気にかかるものだな。 調子いいものだ。 怖いもの見たさというか、 見てみたかったという思いが湧いてくる。
ちらりちらり、参列者を見る私でした。
・・
「工藤さん。」と、ふいに私は呼ばれる。
振り返ると。
レイ、でした。
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