J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2004年05月20日(木)    記帳を終えた参列者は三々五々に立ち話をしていました。

J (3.秘密の恋愛)

7. 葬式 (8)


とは言え。
田んぼしかない田舎道です。
時間を潰そうにも何することもできない。
海のほうに足を伸ばそうにもそれ程の余裕はない。
結局私はすぐに着いてしまったのでした。


レイの実家は農家の造りでした。
門を入ると正面に母屋、右手に納屋がありました。
私は記帳の列に並びレイの姿を探す。
レイは祭壇の前に既に座っていました。

記帳を終えた参列者は三々五々に立ち話をしていました。
私は知り合いもいないので所在無く、
記帳をした後は煙草を吸って葬儀が始まるのを待ちました。

(これならば。誰が誰やら分からない。)

たとえレイの彼氏がここにいても、私には知りようがない。
先ほどの危懼は杞憂に終わったということか。


しかし。
そうとなると気にかかるものだな。
調子いいものだ。
怖いもの見たさというか、
見てみたかったという思いが湧いてくる。

ちらりちらり、参列者を見る私でした。


・・

「工藤さん。」と、ふいに私は呼ばれる。

振り返ると。

レイ、でした。


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